米国の全固体電池開発:サムスン電子、トヨタ自動車が重要特許を保持

全固体電池

全固体電池開発競争が加速している。全固体電池含めた次世代電池の材料開発は日本のお家芸であるが、近年アメリカ(米国)の全固体電池研究の成果が報告されている。

研究成果は大学から発表されることが多く、メーカーがどのようなプレゼンスをもっているかは把握しにくい。

今回、米国における、各企業の全固体電池開発の動向を、特許出願数から調査した。

特許数の推移

Solid State Batteryをキーワードに、米国特許を検索した。

米国特許にてプレゼンスがある企業(銘柄)として、
サムスン電子
インテル
アップル
AT&T
アマゾン テクノロジーズ

などが並ぶ。特に近年AT&Tが特許数で伸びている。

ただ、特許数のみでは各企業の特許の重要度が不明なため、特許スコアを含めた分析を実施した。

特許の重要度

縦軸にスコアをとり、バブルサイズに特許数をとっている。

特許スコアは、被引用回数、情報提供回数など、特許の中間手続きパラメータにもとづく特許の重要度、牽引度などをユーザー様独自のロジックでスコア化したもので、値が1に近いほど重要特許であるといえる。

この結果を見ると、サムスン電子とトヨタ自動車が重要特許を握っていることがわかる。

トヨタ自動車は、スコアの小さい特許が少なく、サムスン、インテルは特許数は多いものの、特許のスコアが小さい(スコア0.0の緑のバブルに含まれる重要でない特許が多い)。

ここからわかることは、実用化に向けて他社牽制できるような特許を握るのはサムスン電子、トヨタ自動車で、その他が追従しているということである。

サムスン電子はモバイル端末向け、トヨタ自動車は自動車用車載電池と考えられるため、領域はラップしないと考えられる。

サムスンSDIのプレゼンス

サムスンは、InterBattery2021において発表した全固体電池のロードマップにおいて、以下のように発言している。

Heok Jang, Director of Samsung SDI R&D Center, said, “SONY Japan was the first to develop lithium-ion batteries, but now we should be the first to commercialize all-solid-state batteries.With the goal of commercializing sulfide-based all-solid-state battery in 2027, we will prepare ourselves thoroughly to finish the mass production test by 2025.”

サムスンSDIR&Dセンター所長のホク・チャン氏は、「SONY Japanはリチウムイオン電池を最初に開発したが、今では全固体電池を最初に商品化する必要がある。硫化物ベースの全固体電池を2027年に商品化することを目標に、2025年までに大量生産テストを完了するために徹底的に準備します。」

米国においても、サムスン電子とトヨタ自動車のプレゼンスが大きいことがわかった。特に、トヨタは数は多くないものの重要度の高い特許を米国できっちり固めている。

全固体電池市場には米国ベンチャーも進出してきているが、投資体力のある大企業が最終的には勝利すると考える。今後も動向を注視したい。

参考|全固米国で躍進する全固体電池ベンチャーとは?

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