NIOが採用する中国WeLionの半固体電池

車載電池

Beijing WeLion New Energy Technology(WeLion)は、中国に拠点を置く先進的な電池技術企業です。2025年までに新規株式公開(IPO)を開始する計画を明らかにしています。

WeLionが開発する半固体電池について紹介します。

WeLionの半固体電池

NIOが搭載するWeLionの電池

NIOの固体電池のお披露目でアピールされていたin-situ solidification hybrid electrolyteは、半固体電池と呼ぶべき技術です。

NIO DAY 2021より、半固体電池の発表情報

電解質のゲル化による界面抵抗低減、Nickel-Ultrarichはカソード(正極)をNiリッチにしてエネルギー密度上げています。負極には、シリコンとカーボンを用いたコンポジット(複合材料)を用いています。特別な技術を導入してるわけではなく、正常進化品だという認識です。

近年、全固体電池と液系のリチウムイオン電池の中間の材料として注目されている「半固体電池」は、CATLやTalent New Energyなどの中国企業がこぞって新製品を投入しており、エネルギー密度も300Wh/kgを超える高い性能を実現しているものが多いです。

特に、CATLのCondensed battery(凝集態電池)500Wh/kgという高いエネルギー密度を実現しており、これらの電池の投入でEVの航続距離の問題はほぼ解決すると考えられています。

WeLionのパウチ型バッテリー(WeLionHPより)

NIOは、固体電池を2022年Q4に車載にすると発表。クラウドで温度管理まで行うと言い、冷却系もスマートになると考えられます。NIOは2023年5月、WeLionの半固体電池を搭載した車両NIO ET7を、7月末までに投入するとしていますが、その後の続報はありません。

NIOの全固体電池は電解質の一部がゲルで完全な固体ではありません。ここが、固体のみを扱うquantumscapeやトヨタとの違いで、NIOが早期に全固体電池を商用化に結び付けることのできた要因の一つとして挙げられます。このように、完全に固体でない電解質を用いる電池を「半固体電池(Semi-Solid State Batteries)」とも呼ぶようになっています。

エネルギー密度は300Wh/kgを超える

各社発表情報を基に当サイト作成

中国のEVメーカー、NIOは2021年に発表したES6 SUVでWeLionの半固体電池を使用するとしています。360Wh/kgのエネルギー密度を持つとされており、テスラなど使用する最新の電池よりも高いエネルギー密度を誇っています。

WeLionとは

Beijing WeLion New Energy Technology、通称WeLionは、車載リチウムイオン電池の開発を行う中国新興企業です。WeLionは2025年までに新規株式公開(IPO)を開始する計画を明らかにしており、2025年までには、年間生産能力を現在の6GWhから30GWhに増やすとも表明しています。

これに向けて、中国国内に4つの新工場を建設する予定です。このビジョンは壮大であり、2025年までに年間売上高を20倍の約2兆1500億円に増やすことが目標とされています。最新の民間資金調達ラウンドでは、同社の評価額は約3兆2240億円に達したとのことで、勢いのある新興電池企業です。

米国のQuantumScape、SolidPower、SolidEnergy Systemsや、台湾のプロロジウムテクノロジー(輝能科技)と同様に、次世代電池を開発する新興企業として今後も注目すべきです。

NIO以外のOEMへの供給も視野に

WeLionはNIOとのパートナーシップが注目されますが、契約は独占的なものではありません。WeLion湖州工場のゼネラルマネジャー、Tian Qiyou氏によると、WeLionは「今後の量産が計画通り着実に進む」ようにと、主要な国際自動車メーカーとの協力も模索しているとされています。ただし、具体的な自動車メーカー名は明らかにされていません。

まとめ

WeLionは360Wh/kgという非常に高いエネルギー密度を実現する電池を2022年末から生産開始しています。この電池が中国製EVに搭載され、航続距離が改善されていくと、EVの商品性がより高まるものと考えられます。

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