ANSYS Fluentにて、TUIコマンドを使った自動化をやってみました。
簡単な操作手順と、よく使うコマンドを紹介します。
TUIコマンドとは
TUIは、Text User Interfaceの略称で、FluentのGUI操作をコマンドで行うことのできる機能です。

Console画面にTUIコマンドを入力することでGUI操作を代替できるため、コマンドを書き残しておけば、操作の自動化が可能です。
TUIコマンドの使い方

ConsoleでEnterを押下すると、コマンド一覧が表示されます。
このコマンド一覧から、操作したい機能を選んで入力します。たとえば、境界条件の定義を行う場合は「define」を入力します。

defineの中にもさまざまな設定項目があり、それぞれ選択していきます。
今回は例として、流速入り口(velocity-inlet)の流速を変更する入力例を以下に示します。

青字がTUIコマンドです。
都度、何を入力すべきなのかConsole上に表示される対話型のインターフェースのため、質問に答えていく要領で入力していきます。

私は、よく使うコマンドの質問をエクセルに書き留めて、左側にTUIコマンドを書く方法で管理しています。
実行する際はエクセルからコピペするか、.jouファイルとして保存しておいて実行します。
.jouファイルとして保存


TUIコマンドの調べ方

コマンドを探す場合は、画面右上の検索欄にキーワードを打ち込むとヒットすることがあります。
私はよく、GUI画面上での設定名称で検索しています。
memo ごくまれに、TUIコマンド設定非対応の項目があります。アドオンモジュールや特殊なモデルを利用している際にありがちです。そのような場合は、GUI操作のジャーナルの書き出し機能を併用して自動化するようにしています。
よく使うTUIコマンド
上の階層に戻る
q
TUIコマンドで階層を戻る際に使います。最もよく使うコマンドです。
流速入り口の設定
define/boundary-conditions/set/velocity-inlet
あるいは、短縮形を用いて以下のように記述できます。
de/bc/set/vi
選択肢の中から判別できれば良いため、define→deに短縮できます。
boundary-conditionsのようにハイフンでつながれたコマンドは、それぞれの単語の頭文字をつなげてbcのように記述しても利用できます。
圧力出口の設定
define/boundary-conditions/set/pressure-outlet
初期化
solve/initialize/hyb-initialization

GUI画面での初期化の操作をコマンドで実行できます。
計算の実行
solve/iterate/50
50iteration実行されます。
結果の保存
file/write-case-data
結果を保存します。入力すると、保存するファイル名を返すように要求されます。
参考:TUIコマンドの保守性
参考ですが、同じ項目であっても、入力方法がいくつか存在します。
たとえば、流速入り口の設定を変更する場合、以下のコマンドを使います。
define/boundary-conditions/set/velocity-inlet
一方で、以下のようにsetを抜かして記述すると、同様にinletの条件を変更できます。
define/boundary-conditions/velocity-inlet
この方法では、以下のようにすべての項目を変更することができます。

変えたい項目だけ入力し、現状を維持したいものはEnterでスキップします。これをTUIコマンドとして保管しておくのであれば、以下のようになります。

これら設定項目は、velocity inletの入力項目に対応しています。

この方法では、Fluentのバージョン変更で設定項目が増えたり、乱流モデルの設定で入力項目が増えると、TUIコマンドを作り直す必要があります。
以下は、粘性モデルを乱流→層流とした場合のGUIでの設定項目です。

設定内容が減っているため、TUI操作では行数が変わってしまいます。

TUIコマンドを乱流にあわせて作成していると、モデルを変更するたびに編集が必要となります。

define/boundary-conditions/set/velocity-inletのコマンドを利用する方が堅牢で汎用的です。
保守しやすいTUIコマンドの運用をおすすめします。
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