Fluentで部屋温度を予測する

シミュレーション

近々、新居に引っ越します。
部屋が若干広くなり、間取りも変わります。ワクワクです。
一方で、広くなってエアコンの出力で事足りるのか?という妻からの問い合わせが。
「なんかそういうの専門なんでしょ?」と言われ、全然専門ではないのですが、暇だしやってみるかと思いトライしました。

形状の作成

SCDMのGUI

SpaceClaim Direct Modeler(SCDM)でモデルを作成します。
・エアコンの流速入り口と出口
・空気清浄機の入り口と出口
をそれぞれ作成した、ただの箱みたいなのを入れます。
一部屋14帖くらいです。

メッシュ作成

FluentGUI

Fluentに.scdocファイルをインポートして、メッシュを切ります。(Fluent 2020はGUIがかっこいい)

メッシュ作成の条件はデフォルト。普段業務で扱うモデルとスケール感が全く異なるので、メッシュサイズが大きくて戸惑いました…

領域は The geometry consists of only regions with no voidsを選択します。
流路しかないので、他のオプションも適当に選択します。

メッシュ

ポリヘドラルのmax cell lengthは282[mm]、Growth Rate1.2、境界層のレイヤー数は3でメッシュを作成しました。要素数は16,846。小さくて助かります。

境界条件の設定

乱流モデルはk-ε RNGで、パラメータはデフォルトのまま。energy Equationオプションをチェック入れて熱も解きます。

エアコンinletの流量は5[m/s]に設定します。これは、カタログスペックから換算したの最大風量10[m/s]の半分です。うちのエアコンがあまり全力で仕事してるイメージがないので半分にしました。

壁の熱条件は、対流10[W/m2K]、輻射0.1[-]、参照温度はすべて300[K](=27℃)としました。一般的な熱条件でとりあえずやってみる感じです。

エアコン温度の実測

エアコンinletの温度は18℃です。これはTANITAの温度計をかざして実測しています(かなり適当な測定方法ですみません)。計算にも18℃をそのまま入れてやります。

実測結果

温度の実測結果

バリデーションのために、部屋の温度を実測しました。

エアコン出口温度と同様に、エアコンが十分に効いた部屋の温度をTANITAの温度計を使い測定したところ、エアコン出口からまっすぐ風の当たる位置では25.3℃、エアコンの風が直接当たらない場所は26.7℃でした。これを目安にして、計算結果が正しいかどうかを検証します。

計算結果

計算結果①

計算結果の温度を示します。
実測よりも温度は低めにでましたが、2点間の温度差は実機と近いため、そこそこの精度が出ているものと考えます。
絶対値が低い要因として考えられるのは
・部屋の断熱性を完全に再現しきれていないこと
・エアコンは一定温度に保つよう制御されるので流速一定ではなく定常解析では再現難しい
などが挙げられると思います。
2つの部屋の相対評価が目的なので、精度はそこそこで良いと判断し、同様の条件で新居の解析も実施します。

部屋ごとの比較

室温の比較

室温を比較しました。design1が現状の家、design2が新居です。
新居は、部屋の右側がかなり冷えるようで、部屋の左右で温度差がある可能性があります。

流速ベクトルの比較

流速を比較してみると、新居の右側は空気の流れが良い分、エアコンがかなり効くようです。
一方、新居の左側は流速が遅く、十分にエアコンが効かない恐れがあります。

空気清浄機やサーキュレータを設置して、空気の流れを作ってやらないと、部屋の右側ばかりがエアコンが効く、という循環に陥りそうです。あるいは、風向を制御してやるなどの工夫が必要かもしれません。

また、実際の住居はいくつか換気口があり、単純にエアコンだけで流れが制御されているわけではないため、もう少し実際のものに即したモデル化が必要とも考えられます。

以上から、
・エアコンで冷却できそうなので買い替えは不要
・空気の循環を促す意味で空気清浄機を導入
という結論に至りました。部屋の空調計算も意外と奥が深いんだなぁという所感です。

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