ANSYS Flentで燃料電池の発電計算してみた

シミュレーション

年末年始もコロナですね。おかげさまで、暇です。
暇すぎたので、ANSYS studentを使って、燃料電池の性能を予測するシミュレーションをやってみました。

アウトプットイメージ

polarization curves
豊田中央研究所 R&D レビューに乗っていたIVカーブです。
こんな感じのIVカーブ[1]が描ければ嬉しいなぁくらいの軽い気持ちで、ANSYS studentのFluentを使って計算しました。

モデル形状

mesh

モデルはSCDMで作成。正直、SCDMの使い方があまり分かってないので適当に作りました。
構成部品としては、セパレータ、流路、ガス拡散層、撥水層、触媒層がアノードカソードそれぞれあり、触媒層間に電解質があるモデルで、厚みは適当です(ナフィオン膜の厚み[2]は調べてそれっぽい厚みにしてあります)。

ANSYS meshでメッシュを作成、電解質や電極(所謂セルに相当する部分)は、厚さ方向に3層切ってあります。不連続メッシュで一度計算してみたのですが、やはりうまく計算できず。
連続メッシュに切りなおして無事に計算できました。

Fluentでの計算設定

Fluent2020R1

ANSYS 2020R1をインストールしたら、GUIがナウでヤングな感じに改良されてて笑顔になりました。

Fluentには、FCの発電計算モジュールがデフォルトで搭載されているので、これを使います。
PEM Fuel Cell Modelを有効にして、アノード、カソード、電解質などの領域を選ぶと、Materialに勝手にfc-mixtureが追加され、Species Transportのモデルも自動的に有効になるようです。

Fuel CEll Modelの使い方については、Youtubeに公式の解説動画があったので参考にしました。
ただ、この手順は結構適当でいろいろ試行錯誤が必要でした…

FCモジュールの物性値や設定などは、ひとまずデフォルトで計算してみます。界面の接触抵抗も特に定義せずやります。

その他、メモ的に設定したことを書くと
・領域はセパレータ以外は全てFluidに変更(ガスが流入する領域なので)
・セパレータの集電部をモジュール内で指定(External Contact Interface)
・層流モデルを使用
・流量入り口はmass-flow-inletでnormal to boundaryに設定(3
・O2の緩和係数(under-relaxation)を0.99
・300iteration計算

計算結果

PEM_IV_curve

IVカーブと、電解質の酸素濃度を同じプロットにとってみた結果がこちら。
たった0.4[A/cm2]の負荷で酸素濃度がほぼ0になりました。

test03_o2

酸素濃度のコンター図を見てみると、セパレータと膜の接触部の酸素濃度が低下している結果(画像の青い部分が接触部、色が明るい方からガスが流れる)。
デフォルトの物性値では、カソード側のガス供給能力が不十分のようで、思っていた(豊田中研の論文)よりもガス枯れが早く起きたようです。

リブ下での液水

こういった液水蓄積によるガス濃度低下は、NEDOのFCV課題共有フォーラム[4]でも報告されているので、実物と似たような挙動が再現できているのだろうと、うっすら感じられる結果です。

F3001fig8

セパレータと膜の接触部の液水が溜まって、拡散層中のガス流路が閉塞される現象は、米アルゴンヌ国立研究所の論文[5]でも計算によって示されています。これはMorphologyに粘性力を加えたもので計算していますが、Fluentでもこういった計算はできるのでしょうかね。あるいは格子ボルツマン法を使った気液二層流とかやれるのだろうか…。調べてみます。

まとめ

とりあえず計算はできるようになったので、市販品の燃料電池実験キットみたいなのを模したモデルでIVカーブの合わせこみをやったりとか、物性値をいろいろ変えて性能がどう変わるかとか、遊んでみようと思います。

参考文献
[1] 高分子電解質型燃料電池 豊田中央研究所 R&D レビュー Vol. 29 No. 4 ( 1994. 12 )
https://www.tytlabs.com/japanese/review/rev294pdf/294_013_kawahara.pdf

[2] 代替エネルギー材料ナフィオン(Nafion)sigmaaldrich.com

https://www.sigmaaldrich.com/japan/materialscience/alternative/nafion.html
[3] 固体高分子形燃料電池(PEFC)の発電に必要な燃料ガス流量は? 東陽テクニカ
https://www.toyo.co.jp/material/faq/detail/id=3767
[4] FCV用燃料電池の現状と課題 NEDO FCV課題共有フォーラム
https://www.nedo.go.jp/content/100888577.pdf
[5] Direct Simulations of Pore-Scale Water Transport through Diffusion Media
https://iopscience.iop.org/article/10.1149/2.0011907jes

画像提供:ANSYS.inc

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