前回、workbenchのCAD機能であるSpaceClaimを用いた三次元モデル作成を実施しました。
今回は、作成した三次元CADを用いて、ANSYS FluentでのCFD計算用メッシュを作成します。

Workbenchのジオメトリノード上で右クリックし、データ転送> Fluent(with Fluent Meshing) を選択します。

作成された Fluentノード上のメッシュを右クリックし、編集を選択すると、 Fluentの起動画面が立ち上がります。

Fluentの起動画面では、
Double Precision
Display Mesh After Readingにチェックを入れます。
Prallelは、Meshing ProcesserもSolver Processesも1(シリアル)としましたが、利用している端末ごとに利用可能な並列数を指定すれば良いと思います。

FluentのGUIが起動します。ワークフローに、メッシュ作成のために操作すべき項目が上から順番に並んでいますので、順番に実施していきます。
ジオメトリをインポートする必要がありますが、Workbench経由であれば、ファイルのディレクトリはすでに指定されているので、「ジオメトリをインポート」ボタンを押下します。
※Fluent Mesingを直接起動した場合は、.scdocファイルの保存先を選択すれば良いです

次はローカルサイズ指定の追加ですが、今回はローカルサイズは指定しないので「更新」を選択して終わりです。
ローカルサイズは、局所的にメッシュを細かくしたり、粗くしたりと設定できるようです。今回は単純ん形状なのでメッシュサイズの局所指定はしません。

サーフェスメッシュを生成します。基本的にデフォルトの条件で「サーフェスメッシュを生成」を選択します。
最小・最大サイズなどは自動的に入力されます。
私はいつもサイズ調整はせずデフォルトでメッシュを切っています。

サーフェスメッシュが切れると、このような三角形の組み合わせがモデル表面に表示されます。

続いて、形状の説明にて
・形状は空隙のない流体領域のみからなる
・はい
・はい
を選択します。
形状タイプは、固体/空隙のない流体/空隙 から選択できます。
固体は読んで字の如く固体です。
空隙のない流体は、外部から粘性抵抗がかからない流体のことで、空気、水など我々がイメージする一般的な流体です。
空隙は、スポンジのような多孔質体のことを指しており、ガスは流れるが多孔質の固体物質により粘性抵抗を受けるというものです。
今回は、円筒を流れる流体領域のみを解きますので、選択肢としては「形状は空隙のない流体領域のみからなる」とします。
流体流体間の境界タイプをwallからinternalに変更するは「はい」としましたが、これはFluentの境界条件設定でも変更できます。
トポロジ共有は、モデルが複数の物体からなる場合は「はい」としておく必要があります。今回は流体領域のみなので「はい」でも「いいえ」でも良いです。

トポロジ共有のギャップを指定して「トポロジ共有の適用」をクリックします。
基本的にデフォルトで可です。
このギャップ以上に離れている面どうしを別の面とみなすという閾値です。今回は流体領域のみなので関係ありませんが、複数の物体からなる計算をしたい場合には、トポロジ共有が必要です。

境界の名称に対して、その面のタイプを選択します。
前回、SpaceClaim内でinletとoutlet面を作成しました。これらは、 Fluent Meshing側で自動的にvelocity-inletとpressure-Outletとして認識されます。
このままで良いので、「境界の更新」ボタンで更新します。

次に、領域に対してタイプを設定します。
Solidという名称のついた領域ですが、計算上は流体領域として扱いますので、fluidのタイプにします。その後、「領域の更新」を押下します。

境界層を追加します。いわゆるレイヤーメッシュで、サーフェス近くに層状のメッシュを作成します。
レイヤーの数を3に設定して「境界層を追加」を押下します。
レイヤー数は多いほど精度が高くなりますが、要素数が増えます。計算内容によりますが、まず3で計算してみて、安定しない、計算結果が妥当でないと考える場合には、4以上の値を入れてみると良いと思います。
また、要素数が多く計算時間がかかる場合、要素数を減らすために境界層の数を減らしてみるのも良いと思います。

ボリュームメッシュは、先ほど作成したサーフェスメッシュの内側をボリュームメッシュ(体積のあるメッシュ)で埋めます。サイズはデフォルトのまま、「ボリュームメッシュを生成」を押下します。
最大セル長さは自動で入力されますので、基本的にデフォルトのままで良いと思います。最大セル長さを小さくすると、より細かいメッシュが作成できますが、メッシュ作成と計算にかかる時間は長くなります。

ボリュームメッシュが作成できれば、作業は完了です。中央に表示されるメッシュと、右下のコンソールメッシュに表示されている要素情報を確認しましょう。

Quality Measure has been changed to Inverse Orthogonal Quality.
name id cells (quality > 0.90) maximum quality cell count
————————- ——– ———————- —————- ———-
solid 3820 0 0.32384336 52369
name id cells (quality > 0.90) maximum quality cell count
————————- ——– ———————- —————- ———-
Overall Summary none 0 0.32384336 52369
[Quality Measure : Inverse Orthogonal Quality]
—————- 52369 cells were created in : 0.28 minutes
—————- The mesh has a minimum Orthogonal Quality of: 0.68
—————- The volume meshing of geom-solid is complete.
52,369要素、最大のクオリティは0.323のようです。クオリティは目安なのであまり気にしていませんが、多面体メッシュのクオリティは、0〜1で、1が最良、0.01より大きい事が目安とのことなので、0.323でも問題ないようです。

「解析モードに切り替え」でFluentの画面に切り替えます。
次回は、Fluentで境界条件を設定します。
Images used courtesy of ANSYS, Inc.
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