ANSYS Fluentでは、座標に依存した物性値を与えながら計算することが可能なようです。
本稿では、特定の領域に粘性抵抗を与え、粘性抵抗の値を座標依存で変化させる計算をトライしてみます。
ジオメトリ

今回は、上記のようなジオメトリをSpaceClaimで作成し、中央のsolidと名前を付けた領域に粘性抵抗を与えます。

粘性抵抗はx座標依存として、流れの下流にいくほど抵抗が大きいと仮定します。
スポンジの穴が、下流ほど詰まっているような構造を想定しています。(粘性抵抗の絶対値は適当です)
粘性抵抗の設定

粘性抵抗は、領域名「solid」のPorousZoneのViscous Resisitanceに値を設定します。
上記の画面は、粘性抵抗が一定値である場合で、ここにx座標依存の粘性抵抗値を入れていきます。
csvファイルの準備と読み込み

粘性抵抗の分布を定義したエクセルを準備します。
xとresisit(抵抗値)の関係を記載します。座標を指定していない範囲(この例での0.0003など)の節点や要素は、最も近い座標の値を参照するようです。

Fluentの設定画面にある「Profiles」に、先ほどのcsvファイルを読み込ませます。

.csv形式でなくても、テキストでも入力可能なようです。(私はcsv派です)

csvを撮り込んだら、PorousZoneの設定パネルに戻り、udf/profileから、csvに定義した粘性抵抗を選択します。
これで設定は完了なので、計算してみます。
計算実行と結果

計算を実行しました。
計算時間は、プロファイルを適用した前後で大きく変わったようには思えませんが、今回のモデルは要素数も多くないため感じられないのかもしれません。

結果の圧力コンター図を見てみます。
粘性抵抗に分布を付けた結果は、流れの終盤でグラデーションがついています。
圧力損失が均一でなく、流れの後ろ側で大きな損失が起きており、意図したような結果になっていることが分かります。

Pressureの分部をみるとこんな感じです。
粘性抵抗を分布で与えた結果の圧力の落ちは急激です。
さらなる展開
この粘性抵抗を、ミクロなスケールのシミュレーションから算出できれば、マルチスケール計算になります。
今度は、材料スケールの計算にも手を出していきたいところです。
Images used courtesy of ANSYS, Inc.
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