ANSYS で熱応力解析(伝熱と構造の連成)をしてみる

シミュレーション

無性に熱応力解析をやってみたくなり、ANSYSでやってみました。

わりと簡単に設定が可能だったので、ここでシェアしたいと思います。

ジオメトリ

今回計算に用いるのは、Baseと名前を付けた構造用鋼の基盤に、Doughnut(ドーナツ)と名前を付けたガラスがくっついています。

ガラスと構造用鋼では線膨張係数が異なるため、室温から温度を上げていくと、上下の膨張の差で応力が発生します。

ジオメトリはSpaceClaimで作成しました。

結果のイメージ

Baseの底面を固定し、温度を室温から400℃まで上げた結果がこちらです。

このような結果を目指して、計算を行います。

このような計算を行うには、まず定常伝熱で温度場を解いてから、静的構造解析を行う、という連成が必要です。

順番に設定していきます。

定常伝熱の設定

定常伝熱で、温度場を解きます。

「定常伝熱」をプロジェクト概念図に移動します。

作成したジオメトリをインポートします。

セットアップで、定常伝熱の境界条件を設定をします。

材料物性を選びます。

「材料」のエンジニアリングデータの中から、Eガラスを選択します。

プロジェクトに追加することで、Eガラスを材料として指定できるようになります。

ジオメトリ>doughnutと選んで、詳細設定のプロパティの材料の「割り当て」にEガラスを選択します。

メッシュを生成します。ひとまずデフォルトで。

作成されたメッシュです。ドーナツは細かめに、基盤は粗目に切れました。

きちんと接点は共有されていることがわかります。

※接点が共有されなくても計算自体はできると思います。節点共有をするためには、SpaceClaimで「共有」を実行して、2つのジオメトリ間の面の共有を行うとよいでしょう。

温度の境界条件を設定します。

底面を選択し右クリック、「挿入」>「温度」と選択します。

温度を400℃に設定します。

memo:「ランプ状で適用」とは
温度をランプ形式で設定すると、温度の値はゼロから始まり、ランプ時間の間に指定された値まで徐々に増加します。これは、動的な負荷シナリオをシミュレートしたり、実世界の条件をシミュレートするために負荷や変位を徐々に増加させたりする場合を想定しています。
今回の定常伝熱は、定常のため時間の概念はありませんが、仮想的な時間変化を持たせて温度を指定温度まで変えていくため、ランプ状で適用、と表記されているようです。

ポストしたい結果を指定します。ここでは「温度」を選択しておきます。

得られた結果です。当然ですが、指定した400℃の温度一定になります。

なにも面白くありませんが、ここから構造と連成することで面白くなります。

静的構造解析との連成

workbenchのプロジェクト概念図に戻り、解析実行を右クリック、「データ転送」>「性的構造」と選択します。

定常伝熱の結果を引き継いで、静的構造解析を行うフローが作成されます。

「セットアップ」をダブルクリックして、mechanicalの画面を起動します。

静的構造解析の境界条件を設定します。

ここでは、底面を「固定」します。底面を選択し、タブの「固定」をクリックすることで固定できます。

ポストしたい結果を選択します。

ひとまず「全変形量」「相当応力」「最大主応力」を選択しておきます。

ガラスは塑性材料であるため、主応力で評価し、基盤は金属で弾性変形が想定されるので、相当応力(ミーゼス)で評価するのがよさそうです。

計算結果です。

左側は最大主応力、右側は全変形量です。界面付近に主応力が発生していることが分かります。

変形量のコンター図をくるくる回すとこのように見えます。

ガラスのドーナツの変形量が小さいことに比べて、基盤は大きく膨張していることがわかります。

熱・応力の連成解析は、思ったより簡単にできました。結果の面白みを増やすために、もう少し複雑な形状でもやってみたいと思います。

Images used courtesy of ANSYS, Inc.

コメント

タイトルとURLをコピーしました