【初心者向け】ANSYS Studentの使い方を徹底解説

シミュレーション

このブログでは、ANSYS Studentを使って様々な計算をやってみた事例を紹介しています。

ANSYS Studentを使っているけど、やりたいことができない、これから使うことになったけど、使い方が分からない、という方向けに、このブログで紹介している記事を紹介します。

これらの記事を読んでいくことで、より高度な計算ができるようになります。

ANSYS Studentとは

ANSYS Studentは、工学や科学研究の分野で広く使われているシミュレーションソフトウェア「ANSYS」の入門版として無料で提供されているものです。

このソフトウェアでは、構造解析、流体力学、電磁気学など、さまざまなシミュレーションツールを使って、さまざまな計算を行うことができます。

環境構築

ANSYS Studentを使い始めるには、ANSYSのウェブサイトからソフトウェアをダウンロードし、インストールする必要があります。それが完了したら、解析を開始する準備が整います。

ハードウェアの準備

ワークステーションは、大規模なモデルや複雑な計算を容易に処理できるため、シミュレーションの実行に最適です。

ワークステーションは、重い計算タスクを処理するために作られており、複数の処理コア、大容量メモリ、グラフィックカードが搭載されています。

簡単な計算やシミュレーションを行うだけであれば、ノートPCは許容範囲内かもしれません。

ただし、ノートPCには計算能力や熱性能に関する制限があり、解析の実行に制限を与える可能性があります。

筆者も、ノートPCにANSYSをインストールして使っています。要数数が10万以下などの簡易な計算であれば、ノートPCでも問題なく動きます。

ANSYSを立ち上げて使ってみる

インストールが完了したら、さっそく使ってみましょう。構造解析の手順はざっくり以下の通りです。

SpaceClaimによるジオメトリの作成

最初のステップは、ジオメトリの作成です。

ジオメトリを作成するには、CADソフトを使います。CADは、AutoCAD、CATIA、NX、SpaceClaim、SolidWorksなど様々なツールで作成可能です。

ANSYS Studentには、ANSYS SpaceClaimというCADが付属しています。2Dスケッチを作成し、それを押し出して3Dジオメトリを作成することが可能です。

手順は以下の記事の通りです。

複数のパーツを組み合わせたモデルを作ることもできます。

ANSYS Mechanicalを使った応力解析

応力解析は、外部からの荷重に対して構造物がどのように変形するかを予測するために使用します。

ANSYS Studentで応力解析を行うには、境界条件を定義し、構造物に荷重を加え、構造物の応力と変位を計算します。

以下の記事では、簡単な応力解析の手順を紹介しています。

ANSYS Mechanicalを使った熱応力解析

熱応力解析は、構造物が、温度変化に対して、どのように反応するかを予測するために使用されます。

ANSYS Studentで熱応力解析を行うには、熱膨張率(線膨張係数)などの物性値や、境界条件を定義し、構造物に温度荷重を加える必要があります。

詳細な手順は、以下の記事が参考になります。

Fluentによる流体解析

流体解析は、流体の流れを予測するために使用されます。流体ソルバーのFluentを使用して、流体解析を実行することができます。

流体解析を行うには、入口と出口の流量などの境界条件と、流体の物性値を定義する必要があります。

簡単な流体解析の例は、以下の記事で理解できます。

Fluentにおける要素分割

要素分割とは、複雑な形状をメッシュと呼ばれる小さな要素に分割するプロセスです。

ANSYS Fluentにも要素分割機能が付属しており、流体解析に使用するメッシュを作成することができます。

Fluentで用いられるメッシュは、流体解析で一般に用いられるポリヘドラルメッシュがデフォルトです。

一方で、テトラなどの古典的なメッシュも作成可能です。メッシュの種類については以下の記事を参照ください。

Fluentによる熱流体解析

熱流体解析は、流体の流れに加えて、熱の影響を予測するために使用します。流体系ソルバーのFluentには、熱流体解析を実行する機能も備わっています。

熱流体解析を行うには、境界条件を定義し、流体に温度条件を加える必要があります。

以下の記事で、簡単な熱流体解析の計算が実行できます。

DEMやVOF

DEM(Discrete Element Method)とVOF(Volume of Fluid)は、それぞれ粒子や混相流をシミュレーションするために使用される手法です。

ANSYS Studentでは、DEMやVOFを使用して、粒状流と混相流のシミュレーションを行うことができます。

DEM機能の使い方については、以下の記事が参考になります。

VOF機能を用いて、流体の混合を計算した記事はこちらです。

Workbenchを活用した最適化計算

最適化とは、制約条件がある場合に、問題に対する最適な解を見つけるプロセスです。

ANSYS Studentでは、Workbench上のツール群を用いて、最適化を実行することができます。このツールでは、複数の設計案を検討し、事前に定義された目的と制約条件に基づいて最適な設計案を選択することができます。

以下の記事では、応力計算と、応答曲面法を使った最適化の事例と手順を紹介しています。

Fluentに限った話題ですが、コマンドを使った操作の自動化は以下の記事に解説してあります。

CAE作業におけるミスを減らす方法は、以下の記事が参考になります。

トポロジー最適化

トポロジー最適化とは、簡単に言うと、設計のレイアウトやトポロジーを最適化し、重量の最小化、強度の最大化、その他の性能目標を達成する方法を指します。

設計の有限要素モデルに高度なアルゴリズムを適用し、製品の全体的な強度や性能に寄与しない領域から材料を体系的に除去することで、製品のコスト削減などに貢献します。

以下の記事では、

シミュレーションの自動化

繰り返し行う作業は、自動化することができます。

ANSYS Studentでは、ANSYS Workbenchを使用してシミュレーションのワークフローを自動化することができます。

CAEにおける自動化は、作業時間の短縮だけでなく、操作ミスを減らすことで無駄な計算をしないことによる時間効率化の効果もあります。

計算のパラメータを入れ替えて計算する「パラメトリックスタディ」も、workbenchの機能を用いると実現できます。以下の記事が参考になります。

まとめ

ANSYS Studentは、現象の予測に役立つ強力なツールです。

この記事で説明した手順に従えば、ANSYS Studentを使用して、シミュレーションを行えるようになるだけでなく、少なからず実務で使える知識が得られます。

ANSYS Student を使用するには、工学原理とシミュレーション技術の基本的な理解が必要であることに留意してください。学生であれば、指導教官や先輩にも、ご自身の計算の正しさ、妥当性を評価してもらいましょう。

Images used courtesy of ANSYS, Inc.

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