ChatGPTを含む生成系AIでCAEはどう変わるか?

CAEと機械学習

AIでCAEが変わる、を議論し始めて、気付けばもう7年以上経ちます。

ChatGPTを含む生成系AIが全盛期と言われている今、AIとCAEの組み合わせについて考えてみたいと思います。

生成系AIで、CAEはどう変わるのでしょうか。

生成系AIでCAEはどう変わるか?

CAEの実務に関する変化点は、以下のようなものが考えられます。

  • Copilotにより作業者の手間が減る
  • 形状の自動生成でCAD不要になる
  • テキスト指示でポスト処理が可能になる

Copilotにより作業者の手間が減る

Microsoftは、copilotと呼ばれるAI機能を開発中です。

Microsoft系のツールに組み込まれ、データ処理や検索、文字入力や文書作成をサポートするツールとされており、テキストベースでoffice作業を進められるものです。

BingにChatGPTが搭載されていることをご存知の方も多いかとおもいます。

こういった機能が、徐々にCAEにも実装されていくものと予想できます。

ツールのイメージとしては、画面右側にcopliotが搭載され、チャットベースで操作を指示できることになるようなイメージです。

既に、Fusion360はCo-pilot機能を準備中であると紹介しています。

ChatGPT + Fusion360 = Fusion360 Co-pilotの紹介です!
指示をだせば
1. Fusion 360 helpを参照して、使い方や作成方法をガイドしてくれる
2. 自動で簡単な形状を作成してくれる
3. モデルの形状を要約したり、分析してくれる
4. モデルのバージョンの違いを教えてくれる
※現在搭載に向け準備中

Copilotに指示を出すと、シミュレーションの操作方法の解説が表示されたり、簡単な形状を生成してくれるようになります。

ChatGPTは、CAEソフトの操作のアドバイスなども可能です。

たとえば「ANSYS Fluentで流速を0.1に変更するTUIコマンドを書いて」といったプロンプトに対して、しっかりと答えてくれます。

これが応用されると、言葉で境界条件を指定すれば、AIが自動的にコマンドを生成し、境界条件を付けることもできると考えられます。

形状の自動生成でCAD不要になる

text to 3Dの技術が発展すると、CADを使った3Dモデル作成が、もはや必要なくなる可能性があります。

text to 3Dツールの1つ、POINT・Eで作成した「reda bycycle」です。

完璧な3Dモデルではありませんが、このtext to 3Dがより進化すると、大量の3Dデータを生成することや、3Dデータを自動ですべて計算し、どれが最適解かを提示することも可能になりそうです。

テキスト指示でポスト処理が可能になる

Microsoft Excelのcopilot機能では、テーブルデータの可視化や整理がテキスト指示で可能になります。

CAE結果も数値であるため、テキストでの結果処理が当たり前になる可能性があります。

ユーザ
ユーザ

応力のコンター図を出して

copilot
copilot

こちらです。

今回の計算の場合は、材料が脆性材料として指定されているため、ミーゼス応力ではなく最大主応力と最小主応力のコンター図を出力しました。

ユーザ
ユーザ

マジたすかる

といった具合になると考えられます。また、改善案を提示することも可能と考えられます。

ユーザ
ユーザ

この結果を見て、どんな形状にするべきか考えてCADを生成して、応力計算もやって。

copilot
copilot

はい。

応力集中部に支持用のビームを追加した形状を生成しました。

応力計算を実施したところ、応力集中が緩和されました。

以下が結果です。

ユーザ
ユーザ

俺より優秀でワロタ

最適化アルゴリズムによるデザイン提案と組み合わせれば、最適形状の提案や、計算水準の計画を立てるなどの対応も容易に可能と考えられます。

課金要素になりそう

CAEベンダーは、Copilot機能を高価なオプションとして用意してくる可能性があります。

金額が高いほど機能豊富で優秀なAIが搭載される、ということになると、お金を払うユーザ側は頭が痛いところです。

CAEのソルバー部分はAIに代替されない?

想定されるのは、CAEのプリ・ポスト部分での生成AI活用です。一方で、ソルバーはAIに置き換わらないと想像しています。

物理法則に則り計算するCAEを、サロゲートモデルなどの方法で代替する手法も存在しますが、「本当にその結果が正しいのか?」を議論するためには、ソルバー部分は現在の有限要素法の延長となると考えられます。

一方で、「ラフな見積もりで良いから早く結果がほしい」と割り切る場合、DALL-Eのような画像生成系AIによる、適当な色塗り結果を出力する機能が実装される可能性もあります。

要求ハードのスペックが変わる?

生成系AIは、モノによってはローカル端末のスペックの要求があがります。

画像系の生成AIは、GPU(グラフィックボード)性能が必要な場合もあるため、多くのCAEソフトのようにローカルで稼働させる場合には、端末の更新が必要になる可能性もあります。

一方で、Fusion360などのように、web上で動作させるCAEソフトも増えてきているため、webベースであればローカル端末のスペックが問われることはないでしょう。

いつ来る?

Copilot機能を開発しているMicrosoftが、年内にCopilotを提供開始するのではないかと予想されています。CAEソフトウェアの開発元も続くと考えられます。

2024年がCopilot機能の元年となりそうです。

技術的には実現可能な機能が多いため、どれだけマンパワーが割けるかに依存します。我々の仕事が楽になり、もっと付加価値を出せる業務に集中できるようになることを期待したいですね。

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