CAEとAIの組み合わせ、という道半ばの課題では、AIはCAEを代替するサロゲートモデルとしての活用が最も効果があると述べた。各論文でも同様の意見が述べられており、実際にサロゲートモデルを構築した例がいくつも挙げられるので紹介したい。
複合材のサロゲートモデルの論文
この分野の論文、ほとんどが中国の研究で、機械学習に関するところは中国が圧倒的に強く感じる。
FE(Finite-element)法では、膨大な量のマルチスケールモデルを構築して計算する必要があり、膨大な計算費用と時間がかかる。この研究の目的である3D複合材料の機械的特性を予測するために、低次元モデリング(Reduced-Order Modeling=ROM)アプローチをさらに開発する必要がある、としている。
マルチスケールトポロジー最適化のためのROMの導入の論文。
サロゲートモデルは、based on bi-level model reductionとの記載があるが、Proper Orthogonal Decomposition(POD)とDiffuse Approximation procedures(Moving Least Squares(拡散最小二乗)のバリエーション)の組み合わせによって行われる模様。
サロゲートモデルを使う事で、都度FEAを行う必要がなく、トポロジー最適化に必要な時間を2h→10分に短縮することができたとのこと。
これも面白い。
パッシブハウスの設計に、寄与因子としてRDA(redundant analysis、説明変数が目的変数に与える重要度を調べる多変量解析手法)、メタモデルとしてGBDT(勾配ブースティング木)、最適化アルゴリズムとしてNSGA-Ⅱを組み合わせた多目的最適化手法を提案している。
性能予測のモデルは別に論文にされている。多変量パフォーマンス分析を実施し、寄与度の高い因子でメタモデルを作成(教師データ1000,テストデータ100)することで次元を削減、GBDTのハイパーパラメータはツリーの層数、数、特徴の最大値、学習率を指定。SVMやNNと比較して決定係数R^2は高く、0.996や0.935と非常に高い値を示している。
【所感】
パッシブハウスの設計の話はとても面白い。サロゲートモデル用の機械学習モデルの学習データ収集には、最適化計算によって得られるデータを用いればよく、最適化計算との相性は良いと考える。
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