最近、FC関係の論文を読み漁っている。液水が発電性能に及ぼす影響を見積もる手法について、GDLを対象に行われた下記のような論文があった。
(高分子電解質膜燃料電池のガス拡散層の輸送特性に及ぼす液体水の影響)
PEMFCのガス拡散層に関するカナダウォータールー大学の論文。2011年。
morphology model(形態計算)とBruggemann近似(拡散係数をサチュレーションと空隙率のべき乗則で表すもの)を用いて、カーボンペーパーGDL内のガス拡散に対する液体の水の影響を推定している。
べき乗則の指数はn=3.5で、saturationごとのPermeabilityに加えて、熱伝導率も予測している。saturationが上がると熱伝導のパスが拡大されるため熱伝導率は向上することが分かっている。
キャピラリーPressure Curveと、relative Permeabiltyを実験と比較して、計算精度が十分であることを検証した。
【所感】
液水飽和度(saturation)ごとに変わる熱伝導率を計算している点が新しい。また、イントロも綺麗にまとめられているので大変勉強になった。
計算用モデルは、実物の画像からではなく、ランダムモデリングで作成されており、空隙率を自由に変更できる仮想基材である点も面白い。2010年時点でこのような研究が為されていたことに驚いた。
先日読んだチューリッヒ応用科学大学の論文でも引用されていた論文で、後の研究に影響しているのだと感じた。
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