排ガス規制の歴史

技術系読みもの

2015年、排ガス規制を逃れるためにVWが不正ソフトを使用している事が判明し、厳罰に処され話題になった。当時、販売台数で世界首位となり絶好調だったVWに対する「見せしめ的な仕打ち」だったように筆者には写っている。自動車業界では往々にして、出る杭は打たれるのである。

ただ、この件について、そもそも排ガス規制とは何か?をきっちりと理解していない節もあったので、ネットでいろいろと調べてみた。

排ガス規制は、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、黒煙などの物質の排出上限を定めるもの。問題となる物質がガソリンとディーゼルで異なるため、それぞれで規制を設けている。

各国での規制導入の歴史を簡単にまとめた。

米国での規制の歴史

米国は、モータリゼーションの進展が早かっただけに、環境への影響も顕著に表れるようになり、対策も早々に打たれている。

1943年、カリフォルニアで光化学スモッグが観測
1952年、スモッグはHCとNOxが原因とされる
1962年、CA州「クランクケース・エミッション規制」→PCVバルブの義務化
1963年、大気浄化法の成立
1967年、CA州のCARBが創立
1970年に大気汚染防止法(通称マスキー法)が成立したことで、本格的な排ガス規制が行われるようになる。
1978年、CAFE(企業別燃費基準)が制定
1994年、Tier1規制
2004年、Tier2規制
2014年、Tier3規制

大気汚染が深刻であったカリフォルニア州は、CARB(カリフォルニア州大気資源局)が、特に厳しい規制を課している。現在、9つの州がカリフォルニアの規制を採用している。そのほかの州は、基本的にEPA(アメリカ合衆国環境保護庁)の定める米連邦排ガス規制による。

ヨーロッパでの規制の歴史

欧州の対応は比較的遅く、1993年からユーロXの表記で区分が行われている。現在はユーロ6が適用されている。
1993年、ユーロ1が導入(NEDCモードの導入)
1996年、ユーロ2
2000年、ユーロ3
2005年、ユーロ4
2009年、ユーロ5
2014年、ユーロ6施行

ユーロ5,6に関しては、それぞれにより細かいリビジョンが存在する。

ユーロ6までの規制値は上記の通りで、乗用車に関してはユーロ5以降大きな規制の変化はない。Euro5以降では、バスやトラック向けの大型ディーゼルはさらに規制されているようだ。

発展途上国の多くもこのユーロXを適用している(ユーロ2や3)。インドは、ニューデリーの空気指数(AQI)が深刻なレベルに達しており、ユーロ6相当を2020年から導入した。

日本での規制の歴史

日本は比較的早く米国に追随し、一時期米国以上に厳しい規制を敷いていた。米国および日本の規制に対応した技術を構築できた日本の自動車メーカーは、その後の環境規制に対して優位に立っている。
1966年、CO濃度規制(行政指導)が開始
(1968年に正式化)
1973年、HCとNOxに試験を拡大した排出ガス規制
1974年、ディーゼル車への規制
1975年、日本版マスキー法、CO,HC中心に大幅強化
1978年から三元触媒の装着が必須化。世界で一番厳しい規制だった。ここから2000年まで基準値の大きな変化なし。
2000年、大幅規制強化、現在の一般的乗用車の代表的規制。
2003年、初めて粒子状物質(PM)への併用対策が求められる。

【有害物質を低減する技術】

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有害物質を低減する手法として、エンジンから排出されたガスを三元触媒とO2センサを組み合わせたシステムで処理する、という仕様がデフファクトとなった。これは1980年代初頭に登場した技術だ。それまでは、触媒の信頼性が足りずエンジンだけで何とかしようとしていたが、浄化性能と燃費がトレードオフの関係にあり限界を迎えた。

排ガス規制の歴史をまとめた。日本が意外と早く対応していたこと、欧州が後追いであったことは意外に感じた。

次は、中国も含めた今後の規制動向について調べたいと思う。

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