台湾水泥の子会社である能元科技(E-One Moli Energy Corp.)は、世界トップクラスのメーカーで高性能なリチウムイオン二次電池製品を製造しています。その製品は様々な産業分野で使用され、高い評価を得ています。
大きなメーカーではありませんが、その技術には定評があります。この記事では、能元科技のリチウムイオン電池について解説します。
能元科技(E-One Moli Energy Corp.)とは
台湾のセメント大手である台湾水泥(台湾セメント)の子会社である能元科技(E-One Moli Energy Corp.)は、1998年に設立されたメーカーです。能元科技は、高性能で高品質なリチウムイオン二次電池製品を製造しています。
長年にわたり、イーワンモリ(MOLICELブランド)として知られるこの会社は、超高出力円筒形電池のニッチ分野に特化しており、モータースポーツ、ハイエンド自動車、航空機、医療、家電、電動工具などの分野で世界のOEMメーカーから高い評価を受けています。さまざまな産業分野で使用されるイーワンモリの製品は、業界の要求を満たす高性能な電池製品として高く評価されています。
パナソニックやCATLのような電池大手ではなく、高性能電池に特化した電池メーカーで、その売り上げ規模は決して大きくありません。一方で、特注品のような特殊仕様のバッテリーの製造能力に長けており、必ずしも規模の大きさだけで語ることができない点も面白い所です。
カナダに新しい電池工場が建設される
リチウムイオン電池大手の能元科技(E-One Moli Energy Corp.)は、カナダでの新しい電池工場の建設計画を発表しました。この工場には、255億台湾ドル(約1200億円)の投資が行われる予定で、カナダ政府は基金を通じて約48億台湾ドルの支援を提供する予定です。
能元科技は過去にもカナダに研究開発センターや営業拠点を設置しており、今回の新工場はその拠点の一環として計画されています。
新工場は2024年にカナダ西部のブリティッシュコロンビア州で建設が始まり、2028年には生産を開始する予定です。工場の生産能力は2.8GWhで、年間1億3500万個の円筒形セルを生産することができます。この工場の建設は、能元科技の成長戦略の一環として位置付けられており、カナダの電池産業への貢献が期待されています。
能元科技の電池の高性能と活用
能元科技は、高性能電動トラックカー「McMurtry Spéirling」にリチウムイオン電池を供給しています。この車両は、0-60mphを1.5秒未満で加速し、独自のファンによるダウンフォース(2000kg以上)を持ち、ボディはカーボンファイバー製です。Molicelは、McMurtry Automotiveとの戦略的技術パートナーシップにより、新世代の電池セルの性能向上と実証を目指しています。
また、MolicelはVertical Aerospaceとの戦略的パートナーシップを通じて、電動垂直離着陸航空機(eVTOL、いわゆる空飛ぶ自動車)である「VX4」のための高性能バッテリーセルを提供しています。この航空機は、高速運転時に320km/h以上の速度に達します。
eVTOLは迅速な充放電サイクルを要求するため、MolicelのセルはVX4の性能と安全基準に適合すると見なされています。
Moliceのセルは、NASAやWilliams Advanced Engineeringなどのクライアントにも採用されているため、能元科技の電池は航空宇宙分野でもその技術が活用されています。能元科技は特に高性能かつ要求の厳しい用途向けの電池を供給していることがわかります。
能元科技の三元系電池生産に特化
能元科技は、三元系の電池供給に特化しており、主に電気自動車(EV)などの電動車に使用されることが期待されています。
現在、能元科技は台南にある既存の工場の拡張と、高雄小港に新たな超級電池工場の建設計画を進めています。新工場は2023年に稼働を開始し、年間約2.4万台の電動自動車向けの長距離用電池を生産することが目標です。
まとめ
台湾水泥の子会社であるE-One Moli Energy Corp.がカナダに新しい電池工場を建設し、カナダの電池産業に貢献する予定です。また、能元科技の高性能な電池は、モータースポーツや航空機、自動車などの分野で活用されており、さらなる成長が期待されています。
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