2020年、幸いにも国際会議でのプレゼンテーションの機会を得ました。
査読付きの論文の提出と、オーラルセッション発表。ガッツリ英語が必要とのことで、学生時代に国際学会での発表経験がなかった私にとっては、忙しい中英語の勉強をしつつ自分の業務もこなし、論文を書きレビュアーにどうのこうの言われ…という苦しい経験でした。
一方で、普段はできない経験でもあったので、体験談を交えながら「この方法なら最低限の苦しみで国際会議を乗り越えられるよ!」という方法を紹介したいと思います。
論文はネイティブに読んでもらう
当然ですが、国際学会で発表する論文は英語で書く必要があります。
しかも、気を付けなければならないのは、Google翻訳では通用しない、ということです。ちなみに、「最近の翻訳は高度化してるからダイジョブだよ!」という事でもないのです。
論文提出前、海外の事業所の同僚(英語ネイティブ)に、論文を推敲して貰う機会に恵まれました。
日本語で書いた論文を全部Google翻訳に突っ込んで、そのままWordファイルを送ってみたところ(やめろ)、見事にほぼ全てが赤字で修正されて返ってきました。一例はこんな具合です。
[言いたいこと] 応力を計算した。
[Google翻訳] I calculated the stress.
↓↓↓↓↓↓↓
[ネイティブ訂正後] I calculated the stress.→The stress was calculated.
論文執筆では、口語ではなく、論文特有の英語表現が必要です。
「私は応力を計算をした」→×
「応力が計算された」→〇
どうやら、受動態でなければならないらしい。しらんがな
これは代表例で、日本語をGoogle翻訳しただけの論文は、英語ネイティブが読むと違和感がある表現がてんこ盛りだったようです。そんなわけで、ガイジンに9割近く赤字修正されたして頂いた論文を提出しました。
英語ができない人が、てっとり早く英語論文の査読を通す方法としては、下記の通りと思います。
- 英語論文を英語で読み、表現に慣れておく
- 査読前にネイティブに見てもらう (←特にこれがおすすめ)
ネイティブのツテがない方もいらっしゃると思います。誰でもいいので、英語論文を書いたことのある人(大学の先生、上司、先輩などなど)を捕まえて読んでもらうのがよいです。手当たり次第に自分より英語経験が豊富な人に頼りましょう。
査読結果
幸い、論文の内容は問題なく、英語もネイティブに9割近く修正して頂いたおかげで査読は通りました。もはや自分で論文を書いたのか、ゴーストライターに書かせたのかよくわからないですが、まあ良しとします。
会議によりますが、私の申し込んだ学会は参考文献(Reference)の体裁について非常にうるさかったです。募集要項に記載のある「論文の書き方」をちゃんと読んで理解し(google翻訳で和訳して読むのがお勧め)、体裁は気を付けましょう。
ちなみに、米国の国際会議はデッドラインにルーズな印象を持ちました。締切前にゴタゴタしており論文の提出が遅れたのですが、デッドラインが過ぎた後でも「ごめん遅れるわ」というメールを一通送れば、何とでも調整できました。
ちなみに、レビュアーもデッドラインを過ぎてからレビューを返したりしていたので、日本人感覚でしっかり締め切りを守る必要はないのかもしれない。(学会によるかも)
プレゼンは「ノウハウ本」で作る
無事査読が通ったので、発表当日はプレゼンテーションを15分-20分で行うように、と案内がきました。
筆者は英会話が全くできないため、当然プレゼンなどできるはずがありません。何か、発表のテンプレ―トになりそうな本はないか、と思い探し出したのが「国際学会English 口頭発表 研究発表のための英語プレゼンテーション」でした。
これは良いノウハウ本でした。プレゼンの要所で必要になる、以下のようなセンテンスが死ぬほど載っています。
- Today, I’m going to start by talking about ~
- One of the main goals of this study was to ~
- As we saw in the previous slide…
また、プレゼン中に図表を説明する際に使える、
- (図を指しながら)Here we have ~ And here ~ And over here~
- (図を指しながら)the dots indicate ~
などなど、口頭発表の始まりから締めまで、お決まりの言葉が掲載されているので、この本の言葉を組み合わせ、なんとか発表原稿を作ることができました。
英語ができない人が、てっとり早く英語論文の査読を通す方法としては、下記の通りと思います。
- 英語発表の本から表現をコピペする
質疑応答はオンライン英会話で練習
プレゼン後の「英語の質疑応答」にどう対応するかも、大きな課題でした。
今回は、以下の2点をやってみました。
- DMM英会話で会話の練習
- 想定質問に対して英語での答えを用意
これが、結構うまくいきました。特にDMM英会話です。
オンライン英会話は激安で驚きました。初月は月額3,000円で毎日30分レッスンを受けられるので、毎日やれば1レッスンあたり100円程度。発表直前の1カ月くらいは試してみてよいと思います。
30日×30分=15時間で劇的に英語がうまくなるわけではありませんが、「現有戦力のボキャブラリーでなんとか相手に伝える技術」は身につきます。
DMM英会話は割とマジでお勧めです。コスパが良い、いつでもできる、が大きなメリットです。デメリットは、選べる講師が頻繁に入れ変わる、たまにドタキャンする講師がいる、などですが、ドタキャン分は別途レッスンができるチケットが受け取れますし、講師が入れ替わるより前に学会が終わって自分が他界する方が早いと思います。
発表当日
このように、国際会議に挑む準備を虎視眈々と進めていましたが、COVID19の影響で国際会議はオンライン会議となり、会社の金を使った旅行 出張は取りやめに。
オンラインでの発表だけで、私の国際会議は幕を閉じました。質疑応答はメール形式で、私のDMM.comでの努力は無に帰しました。無念。
まとめ
全体を通して言えることは、使えるものは全部使って英語から逃げろ、ただ質疑応答だけは逃げられないので対策をしよう、です。
何より大事なのは発表する技術的内容であり、英語の部分に大きな労力を割くよりも研究をしっかりした方がいいでしょう。
なにか参考になれば幸いです。
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