米国、欧州、日本での”排ガス規制の歴史”を解説します

2015年、排ガス規制を逃れるためにVWが不正ソフトを使用している事が判明し、厳罰に処され話題になった。当時、販売台数で世界首位となり絶好調だったVWに対する「見せしめ的な仕打ち」だったように筆者には写っている。自動車業界では往々にして、出る杭は打たれるのである。

ただ、この件について、そもそも排ガス規制とは何か？をきっちりと理解していない節もあったので、詳しく調べてみた。

排ガス規制は、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素類(HC)、黒煙などの物質の排出上限を定めるもの。問題となる物質がガソリンとディーゼルで異なるため、それぞれで規制を設けている。

各国での規制導入の歴史を簡単にまとめた。

米国での排ガス規制の歴史

PM濃度分布(2014)
環境規制の厳しいカリフォルニアの大気汚染は一向に改善しそうにない pic.twitter.com/kIcrEG85dH
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米国は、モータリゼーションの進展が早かっただけに、環境への影響も顕著に表れるようになり、対策も早々に打たれている。

米国での排ガス規制の歴史

大気汚染が深刻であったカリフォルニア州は、CARB(カリフォルニア州大気資源局)が、特に厳しい規制を課している。

現在、9つの州がカリフォルニアの規制を採用している。そのほかの州は、基本的にEPA(アメリカ合衆国環境保護庁)の定める米連邦排ガス規制による。

欧州の対応は比較的遅く、1993年からユーロＸの表記で区分が行われている。

現在はユーロ6が適用されている。

ヨーロッパでの規制の歴史

ユーロ5,6に関しては、それぞれにより細かいリビジョンが存在する。

乗用車の欧州規制(詳細版) pic.twitter.com/aiCs4n7mr9
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ユーロ6までの規制値は上記の通りで、乗用車に関してはユーロ5以降大きな規制の変化はない。Euro5以降では、バスやトラック向けの大型ディーゼルはさらに規制されているようだ。

発展途上国の多くもこのユーロXを適用している(ユーロ2や3)。インドは、ニューデリーの空気指数(AQI)が深刻なレベルに達しており、ユーロ6相当を2020年から導入した。

排ガス中の有害物質、半世紀でほぼ出なくなってるのにまだ規制強化し続けてるのなかなか草 pic.twitter.com/MILS8sNAAG
— モンテネグロ橋本 (@mnt_hasi) March 8, 2020

日本は比較的早く米国に追随し、一時期米国以上に厳しい規制を敷いていた。

米国および日本の規制に対応した技術を構築できた日本の自動車メーカーは、その後の環境規制に対して優位に立っている。

日本での規制の歴史

有害物質を低減する手法として、エンジンから排出されたガスを三元触媒とO2センサを組み合わせたシステムで処理する、という仕様がデフファクトとなった。

これは1980年代初頭に登場した技術だ。それまでは、触媒の信頼性が足りずエンジンだけで何とかしようとしていたが、浄化性能と燃費がトレードオフの関係にあり限界を迎えた。