【図解】電動化の現状と予測をデータで見る

自動車業界

EV化の流れを読むためには、日本国だけでなく、世界の国と地域に視点を移して情報を得ていく必要があります。

この記事では、公的機関の発表している資料から、電動化の現状と将来を紐解きます。

世界の自動車販売台数

  • 世界の主要市場の自動車販売台数をみると、市場規模が大きいのは、中国(約2,700万台)、北米(約1,700万台)、欧州(約1,400万台) 。
  • 我が国市場は、約420万台。ASEAN・インドを合わせたアジア市場は約1,000万台。

電動化を議論する前に、世界で見た場合の各市場の大きさを俯瞰してみます。

中国・北米・欧州がそれぞれ主要な市場で、中国が2700万台、北米が1700万台、欧州が1400万台です。特に中国市場が大きいことがわかります。

現状、中国市場での日本メーカーの存在感は薄れていく一方であり、EVでは中国地場企業に完全に敗北しています。2030年までに、中国市場で存在感を示せるかどうかが、まず最初の正念場です。

世界におけるパワトレの内訳

経済産業省 製造産業局・商務情報政策局資料より
  • 2022年の世界販売台数約7,870万台のうち、電気自動車(EV)が約10%(約774万台)を占める。
  • 特に欧州・中国におけるEVの販売台数は堅調に増加。新型コロナウィルスの影響を受けた優遇策強化も起因し、特に欧州においては販売台数が急速に増加。

次に、世界における電動化比率を見てみます。

EVに限定すると、中国・欧州において新車販売の20%ほどがEVとなっており、日本や北米はその進行度が遅い状態です。

全世界で見ると、いまだに販売台数の80%は内燃機関であり、EVにPHEVやHEVを含めても20%です。2022年時点では、まだまだ内燃機関自動車が主流であることがわかります。

BCGプレスリリースより

ただ、EVのシェア10%は、2020年時点での予測に反して急速に進んでいます。

BCGの予測では2022年時点でEV比率4%程度だったものが、実際には10%まで普及しています。中国でのシェア拡大が想像を超えて早く進んでいることが原因で、2030年時点での世界でのEVシェア18%は確実に達成されると考えられます。

各国の電動化の目標

電動化目標
英国190万台2035年目標
EV・FCV:100%
EU1093万台2035年以降、テールパイプベースでCO2排出100%減
(≒ EV・FCV:100%)(※)
(※)合成燃料のみで走行する内燃機関を搭載する車についても一定条件下で新車販売を認める方向で検討が進む
米国1438万台2030年販売目標
EV・PHV・FCV:50%
中国2686万台2025年販売目標
EV・PHV・FCV:20%
2035年販売目標(※)
EV・PHV・FCV:50%、HEV:50%
日本420万台2030年販売目標
EV・PHV:20~30%、FCV:~3%、HEV:30~40%
2035年販売目標
電動車(EV/PHV/FCV/HEV):100%

各国の目標として掲げる電動化の比率は、上記の通りです。非常に野心的な目標を掲げていることがわかります。

リチウムイオン電池の正極の変遷

METI 蓄電池産業の競争力強化に向けて

エネルギー密度は低いものの、資源制約の少なさや低コストのメリットもあり正極材に鉄系の
LFPを採用した電池の採用が拡大。採用が進んでいる中国のみならず他国でもエントリーレ
ベルでのEVで採用を決めたOEMも出始めている。特に、定置型貯蔵システムではLFP系が
主流となる見方が強い。
日本の電池メーカーも複数社がLFP電池を生産しているが、LFP材料の供給は中国企業
がほぼ独占している状況(国内メーカーも少量生産)。

各国のエネルギーミックス

JAERO(日本原子力文化財団)ホームページより

主要国の電源構成は、資源の有無や保有する資源の種類等によって異なっている。日本は少資源国でエネルギー自給率が低いため、エネルギー確保とリスク分散の観点から電源の多様化を図っている。

電動化にあたり、エネルギーをどの原料から取得するかも大きな課題です。

国や地域によってエネルギー源の割合は異なります。

中国やインドは石炭火力の割合が大きく、米国は自国の天然ガス、イギリスやドイツなどの欧州は自然エネルギーが全体の3割を占めます。

これらエネルギー事情を踏まえたうえで、電動車の効率を考えていくことが必要で、CO2排出量の多い化石燃料から電力を作る国でのEV化は、本当の意味でカーボンニュートラルと言えるのか、議論も必要です。

まとめ

公的機関やコンサルの統計情報や予測を知っておくと、おおよそ世界がどの方向に向かうのかを把握することができます。

特に自動車産業は、世界的には増産の流れで、電動車比率が高まることはよく知られている通りです。

今後も動向を注視していきます。

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この記事を書いた人

某自動車メーカー勤務、主に計算系の基礎研究と設計応用に従事してます。
自動車に関する技術や、シミュレーション、機械学習に興味のある方に役に立ちそうなことを書いてます。

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