2040年、自動運転車時代にメーカーが生き残るために

技術系読みもの

現在、各社がこぞって自動運転車の研究開発を続けている。

様々な課題はあるものの、自動運転がいずれ実現するという見方は強い。マッキンゼーのレポートでも、自動運転は2020年代の前半から徐々に普及し、2030年時点で約15%、2040年には90%に達するとされている。つまり、20年後、私たちは運転する必要がなくなる

自動車は所有されなくなる

自動運転が普及した未来では、自動車は「所有」と「利用」の両方の市場が成熟していく。

「所有」の層は、今と同じように自家用車を持ち、好みにカスタマイズし、あるいはステータスとして手元に置きたい人たち。「利用」の層は、車は移動の道具として割り切り、行先に応じて車を人れ替える事の出来るシェアリング形態を選ぶ人達。

「利用」を選択する人はコストメリットから利用を選ぶ。将来、自動運転タクシーの運賃は、現在タクシーの1 /4になると予測されている(10kmの移動が800円程度)。800円で目的地までドアtoドアで移動できると考えると、高いお金を払って自動車を購人するのと比較してどちらが安上がりかは明らかだ。これが自動運転技術の恩恵である。

自動運転技術によりクルマの「利用」化が進むと、複数の人間が同じ一台の車をシェアするようになる。すると、自動車の稼働率があがり、社会に必要な自動車の台数は減り、車は売れなくなる。自動車メーカーが必死に開発した自動運転が、自動車メーカーの利益をむしばみメーカーを駆逐するとは皮肉なものだ。

では、どれほど売り上げが減ってしまうのだろうか。考えてみた。

自動車の販売台数は1/2以下に

現在、所有と利用の両方が成熟している市場として「住宅」がある。日本の持ち家世帯率は60.9 %。つまり、自動運転が成熟した20年後、今のように新車を購人し所有するのは60 %に留まると考えられる。新車販売台数が4割減るということです。

また、4人乗りの自動車に1人で乗ることも多く、ライドシェアによる効率化によって、1台に相乗りするなどの効率化が図られ、必要台数は減るだろう。

さらに言えば、家は 24時間必要だが、車が必要なのは移動時だけ。実際、車のリアルタイム稼働率は10%以下と言われており、必要な時にだけ利用できれば良いといった点を含め、自動車は住宅よりも「利用」に切り替わりやすい。

車の利用の効率化が進めば、20年後、車の販売台数は半分以下になる可能性もある。
環境負荷や経済の効率を考えるとメリットも大きいが、自動車を製造・販売し利益を得ている自動車メーカーはそれどころではない。

181004_toyota_06

売上が半分以下になるかもしれない、という非常事態に、自動車メーカーは「所有」と対極にある「利用」市場を掴むため、シェアリングビジネスに乗り出している。トヨタがソフトバンクと組んで始める「MONET」などがそれだ。シェアリングで特に重要なのは、車の品ぞろえの多さ、借りる場所の立地、アプリの使いやすさ など。各社はこれらを必死で開発し、実用化を目指していくようだ。また、自動運転やシェアリングに適した車両の研究開発にも躍起になっている。

自動運転社会で必要とされる自動車

9a8f40a0-514a-11e9-99fe-33b4e9a62b7f

では、完全自動運転が普及した社会では、どのような自動車が必要とされるのだろうか。

自動運転車両は自分で運転をしないので、ハンドルはもちろん、カーナビやミラー、エアバッグ、ドライブレコーダーなども不要。運転席そのものが不要となる。居住空間に近くなるので、インテリアデザインが重視され、インテリアブランドとのコラボ自動車が生まれてくるかもしれない。

自動運転で特に注目すべきなのが、事故が減るという事実だ。ヒューマンミスによる事故が減ることで、車に求められる衝突安全性などの規制が緩和され、安価な材料を用いた軽量・低価格な車両がトレンドとなる。

人によって運転のクセのある人間と違い、 プログラムによって運転を制御するため走行環境を予測しやすくなり、「時速60kmで市街地を走行する際に最も燃費が良くなる設計」といったように、特定の走行条件に特化したチューニングがなされた車両が製造される。また、シェアリングにおいて、清掃などのメンテナンス性が高い車両が好まれるようになる。

いずれも、車に求められる要件が大きく変わり、自動車自体は付加価値をつけにくくなる。
そうなると、自動車メーカーの利益は圧縮されていく。

next generation transport

自動運転によって車は売れなくなる。が、新たな市場としてシェアリングが台頭する(すでに市場の奪い合いが始まっている)。新しい市場に対して何も手を打たないと、今大きな利益を上げている自動車メーカーも、20年後廃業に追い込まれるのも十分にあり得る。また、「利用」の概念は、タクシーもレンタカーも全く同じものなので、これらの業界再編も進むと考えられる。

とは言っても、今回の話は日本国内に限った話。これから自動車が普及するインドなどは、2040年まで販売台数は伸び続けるだろう。こういった成長国のシェアをきっちり確保し、日本などのシェアリングに移行する地域では、今から市場に手を打てる企業こそ、20年後も生き残る事ができる。

この大きなトレンドをしっかりと掴み、自動車業界の変化に対応して久必要があるだろう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました