自動車メーカーに就職してから読んだ専門書

技術系読みもの

自動車メーカーで働いていると、機械設計にまつわる様々な知識が求められます。上司に「こんなことも知らないのか」と言われ悔しい思いをし、社会人になってから本を買って多くを勉強しなおしました。

学生の頃にこの本を読んでおけば…という後悔の念も強く、今から技術者を目指す方々へ「現役の設計者が読んで勉強になる本」を紹介したいと考えるようになりました。

自動車メーカーに入ってから読んだ本の中で、特にこれはお金を出してよかったと思う本を選んでみました。

いくつかは大学の図書館にあったり、あるいは授業で使われていたりすると思いますので、興味のある方は見てみて頂ければと思います。社会人の方にも、やっぱりこの本だよなぁと共感して頂けると幸いです。

続々・実際の設計―失敗に学ぶ (実際の設計選書)

私は失敗に関する本をいくつも読んできましたが、実務に直結するこの本が一番為になりました。機械設計をする上で、実務的な失敗事例が非常に多く、機械設計の勘所を学べます。

少し値が張るので、図書館で読むなどがお勧めです。

設計者に必要な材料の基礎知識―これだけは知っておきたい機械材料の知識とデータ (実際の設計選書)

自動車関係に従事すると、材料の知識からは逃れられません。金属(SUSやアルミ)、樹脂、複合材料、セラミックスは自動車の各所に利用されています。同じ材料であっても金属組成が違ったり製造プロセスが違うと、材料物性値も異なります。

機械設計に必要な材料の知識やその組み合わせなど、現場で使える知識が非常に多く、学生の設計実習でも役に立つ一冊です。こちらも値が張るので、大学の図書館などで読んで頂ければと思います。

機械工学のための数学 (JSMEテキストシリーズ)

この本も、タイトルは「機械工学のための数学」とあるが、数学の本ではなく工学の本です。

工学で扱う物理と、ソレを解くための数学が書かれています。

なぜ工学部で数学を学ぶのか、をよく理解できる一冊です。数学の授業で「なんでこれが必要なんだよ」と思っていた学生の頃の私に読ませたい一冊。

伝熱工学 (JSMEテキストシリーズ)

同じくJSMEテキストシリーズの伝熱工学は、熱力学に含まれない伝熱の三態を詳細に解説しています。

実際の製品開発において、熱力学よりも伝熱工学の方が利用する機会が多いと感じています。熱力学はエンジン設計などで重要ですが、伝熱工学はエンジン以外のありとあらゆる製品で必要になる考え方です。なぜこちらを積極的に教えなのかと疑問になるほどです。

MOTOR FAN illustrated – モーターファンイラストレーテッド

こちらは専門書ではなく雑誌ですが、自動車関連に従事する方には勉強になるものです。

最新のトレンドを図解で分かりやすく解説してくれており、毎月異なるテーマで、図解を用いてわかりやすく解説してくれます。ここで興味を持ったネタをもっと調べてみるとか、論文を読んでみるなどすると、自身の車に関する知見が広がります。

内燃機関(第3版)

タイトル通り、エンジンの本です。読みやすく、かつ実用的です。燃料、排ガス含めエンジンの基礎知識はこの本1冊で十分です。

EV化、電動化の時代にエンジンの勉強?などと異論もあると思いますが、自動車関係に従事するなら内燃機関への理解は必須です。エンジン開発をしてきた猛者たちが考える用語や思考法は、エンジンの知識があるとより理解しやすくなります。

少なくとも2050年までは内燃機関はなくならないと考えられています。エンジンの知識を持っておく、という意味で、この一冊は必要十分な文量なのでオススメです。

まとめ

入社してから今日にいたるまで、日々業務で必要になる知識を、都度、本屋で専門書をさがして読み漁っています。

毎年、読んだ本を記録として残していますので、こちらもご覧ください。

技術系読みもの
この記事を書いた人

某自動車メーカー勤務、主に計算系の基礎研究と設計応用に従事してます。
自動車に関する技術や、シミュレーション、機械学習に興味のある方に役に立ちそうなことを書いてます。

Montenegro Hasimotoをフォローする
シェアする
橋本総研.com

コメント

タイトルとURLをコピーしました