EVに関する情報収集をしていると、「ノルウェーが最もEVが普及している」という記事を読んだ。本当だろうか。
これは、自動車登録数に占めるEVの割合である。
ノルウェーの自動車のうちEVは28.8%と、日本の0.4%と比較しても飛びぬけている事がわかる。
なぜノルウェーでEVが普及するのか?
答えは簡単で「充電インフラが普及しているから」。
ノルウェーの寒さでエンジンオイルが固まらないように、車にはヒータが付いているらしい。そのヒーター稼働はコンセントからの電源でとるようで、各家庭のガレージや駐車場には230V電源が必ずある。
では、インフラさえ整備されればEVは普及するのか?
そういうわけでもない。
ノルウェーでEVが普及しているもう一つの理由は「電力が安い」から。
各国の電力電源構成と電力価格の関係
上のグラフは、各国の電力電源に占める火力発電の割合と電力価格を示したもの。火力発電比率の低い国は電力価格が安い傾向にある。
ノルウェーは電力の96%を水力発電で賄う事が出来、電力価格が非常に安い。
(ノルウェーは日本の半額以下の電力価格)
つまり、
「充電インフラを設置する」
「電力価格を抑える」
というハードルさえクリアすれば、EVの普及は難しい事ではないと言える。
(バッテリー等の技術的ハードルは置いておいて…)
この課題さえクリアすれば、トヨタ自動車が「2030年にEV/FCVを年100万台売る」、VWが「2025年にEVを300万台売る」と宣言した事が現実になるのであろうか?
ノルウェーでのEV販売台数は?
100万台、300万台売る、という目標に対して、ノルウェーではそんなにEVが売れているのか!というと、実際はそうでもない。2016年は年間4万台程度で、ノルウェーが25ヶ国あってようやく100万台だ。
しかし、悲観的になることはない。
世界のEV,PHVの保有台数推移
このグラフは、各国のEV・PHVの保有台数。
米国・中国が半数以上を所有している事が分かる。
つまり、ノルウェーはEV普及率は高くとも、そもそも市場規模として小さい国であるという事である。
国別にEV新車販売台数を見ると、中国がぶっちぎりで一位である。
ノルウェーの10倍近い市場を持っている。
中国の充電インフラが整っているとはいえず、電気料金も米国とさほど変わらない中国が2016年に40万台の販売実績がある。
中国の充電インフラを整え、電力価格が下がってくれば、年間100万台は現実的な数字なのかもしれない。
【ソース】三菱総合研究所「諸外国における電気料金の実態調査」http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2012fy/E002274.pdf
電力中央研究所「電気料金の国際比較」
http://criepi.denken.or.jp/jp/serc/discussion/download/15003dp.pdf
大和総研「自由化で先行する欧米の電気料金の状況」
http://www.dir.co.jp/research/report/esg/esg-place/esg-electricity/20160810_011151.pdf
経済産業省「日本・米国・中国の電力コストについて」
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_problem_committee/024/pdf/24-2-1.pdf
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