私は目下、某自動車メーカーで働いている。
いわゆる技術系の職場で仕事をしているが、私自身も入社するまで「自動車メーカーの社員ってどんな仕事をしてるの?」と思っていた。
その実態を書きたいと思う。
車の設計してるんでしょ?
自動車メーカーなのだから、技術者は車の設計をするのではないか?というのが一般的な見方と思う。
まあその通りなのだが、実態は「あの車種を設計している!」と言えることは稀。ある車種、あるいはプラットフォームの、そのなかでも特定の部品を担当している、ということが多い。
しかも、部品一つを一人で担当することはほぼなく、特定の部品の評価、分析、図面化、製造工程、など、仕事自体が細分化されており、担当する業務は限られる。
サプライヤーにいる人間とやってることはあまり変わりないし、業務分担が細分化されすぎているのでサプライヤーよりも見えてる世界は狭いかもしれない。
技術者なんだから「技術」をやってるんでしょ?
製品設計は、つくった製品を評価して、結果を考察し、設計を修正しよりよいものを作る、という一連の作業を指す。
製品設計が技術者の仕事だとすると、この一連の流れをすべて自分で行っている社員は、ほぼいない。
自分の手で実験をしたり、図面を書いたり、というすべてをこなすことができる人は稀。
図面を書く専門部隊がいたり、実験だけを行う部署があったりで、そこに「依頼書」という名のエクセルを送り付けて業務を行ってもらう。
社内でできない実験は外注したりすることも多い。
ソフトウェア系の開発は社内で開発することが容易ではないため、より外製比率が高まる。
ここがGAFAM(FはMETAになったのでGAMAM?)に後れを取っている要因でもある。
忙しい?
忙しい。
ひとつの部品を複数人で担当する。その複数人はこまめに意思疎通しながら、期限に間に合うように仕事を進める。
この意思疎通に時間がかかる。いわゆる無駄な会議が発生する。すりあわせの会議だ。
その部品が3万点集まって車が出来上がる。つまり、3万倍のすりあわせが必要となる。会議まみれだ。
実際、個人のスケジュールはテレビ欄のように会議で埋め尽くされており、9:00-17:00はだいたい会議とその準備で終わる。
実際に設計業務を行うのは定時以降となる。製造業、とくに目立つ自動車メーカーはホワイト企業(笑)なので、22時以降の残業は基本的に認められない。定められた時間内に効率よく業務をこなすために仕事をしている。
感覚としては、仕事中は息をしていない。22時を過ぎてようやく呼吸する感覚である。
もちろん、コンサルや不動産営業など長時間勤務を余技なくされる企業・業種よりはマシとは思う。
人間関係は?
部署によるため一概に言えないが、激務の部署ほど人間関係は良いことが多い。
激務に耐えられず体調不良となったりメンタルを壊したりする人は頻繁に見受けられるが、忙しさゆえに謎の一致団結感が出てくるため人間関係は良い。
特に近年、コンプラに少しでも抵触すると厳しく指導が入るため、上司も厳しいことを言う人間が減ってきている。
まとめると、自動車メーカーの仕事は細分化されており、会議が多く、激務である。
少しでも参考になれば幸いである。
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