EVがガソリン車に追いつくのは2035年

技術系読みもの

EVの普及が進むといわれている昨今。
実際のところ、今後EVはどの程度普及するのだろうか。

自動車関連に従事している方は「EV化が進むと自分の仕事がなくなるかもしれない」という危機感から、関心の高いテーマでもあると思う。
今後、自動車のパワートレーンのトレンドがどのように移り変わっていくのか。私なりの見解をまとめた。

「EVが普及するか?」という問いに対して、今のところ自動車関連各社の見解は「すぐには普及しない」というものが大半。EVの普及を妨げる要因は大きく4つ。
①電池容量不足②長い充電時間③高い車両価格④少ない充電インフラ
これらが解決されれば、有害ガスを排出しないEVが普及するのは自然な流れだと考える。
これらがどのタイミングで解決されるかを考えれば、EVが普及するタイミングも予想できそうだ。

①電池の容量


2019年現在のEVに搭載されている電池の容量は、日産リーフやテスラモデル3が60kWh程度、リーフの場合458km航続できる(WLTCモード)。

リチウムイオン電池の小型化は進められており、2023年ごろには80kW程度の電池が同じ容積に搭載され、航続はガソリン車と同じ程度の600km近くになると考えられる。そのため、電池容量の課題は2023年ごろには解決されるだろう。

②充電時間

リーフに搭載される電池への100kW急速充電は、80%充電に60分を要する。この充電時間は、充電器の出力を上げるしか現状打開策はない。日本電産がUFCと呼ばれる方式で320kWの高出力の充電手法を開発しており、この手法であれば80%充電を15分で完了できるようになるらしい。しかし、この方法では電池の劣化を招き、充電する度に電池容量が低下してしまう。

この課題を完全に解決すると考えられているのが、全固体電池である。充電時間が液体リチウムイオン電池の1/3になると期待されている。全固体電池は、(適当な説明で恐縮だが)電解液を固体にしたもので、高い電圧をかけても電解質が分解されないため、高電圧での充電が可能になる。また、内部抵抗が低いために、同じ電圧をかけても大電流を流せるため、充電速度が向上する。

全固体電池は、トヨタが2023年頃をめどに実用化を進めており、本格的に車載電池として市場に登場するのは2025年以降との見方が強い。この全固体電池は、同時に①の課題である電池容量も改善できる。全固体電池が「ゲームチェンジャー」と呼ばれるのは、電池の抱える「容量」と「充電時間」という課題を一気に解決できてしまうためである。

③高い車両価格

EVは高価な乗り物だ。

日産リーフは、60kWhの電池を搭載したe+xが416万円。コンパクトハッチバックなのに、400万円を超える価格。同じくコンパクトハッチバックのノートが142万円、高級セダンのスカイラインが427万円と考えると、リーフが高価な車であることは否めない。

コストが嵩む最大の要因はバッテリーである。現在の車載用LIBの価格は150ドル/kWh以上で、60kWhの電池を搭載するとバッテリーにかかる費用は約100万円。電池交換費用から算出したリーフの電池モジュールの価格は約113万円であった。トランスミッション等が不要になり部品数が減るとしても、まだまだエンジンにコスト面では勝てないのが現状である。

いつになればコストが下がるのだろうか。

中国の電池大手CATLは、2025年にはバッテリー価格が50ドル/kWhに達すると予想している。つまり、2025年にはバッテリー価格は40万円程度となると考えられるが、それでも内燃機関自動車の価格には届かない。2030年頃には、LIBの価格が更に下がり、内燃機関と同等のコストとなると考えられる。

全固体電池は、2030年頃に100ドル/kWhとなると言われており、2035年頃には50ドル/kWhに達すると考えられる。次のプレイクスルーは2035年で、全固体電池の登場と低スト化により冷却機能等も少なくなり、内燃機関と同等の価格となる。遅くとも2035年には、コストも充電速度も航続距離も、EVと内燃機関は同等の性能を持つようになるだろう。

④少ない充電インフラ

こが一番の問題だ。日本の住居形態は、50%が一戸建てで、50%が集合住宅(賃貸or分譲)。EVを普段から使おうと考えると、自宅で充電するのが最も簡単だが、集合住宅では充電設備を完備する事が難しい。これは今後解決する目途が立っておらず、日本でEVが流行らないと言われている根本的な課題である。

しかし、考慮すべきなのは、そもそも車を所有しない人が増えるという事。自宅に車を持たず、シェアされたEVを使うという発想であれば、充電インフラは特定の場所に集中して設置してあれば十分となる。このシェアリングの流れは始まっているが、今後どの程度浸透するかはまだわからない。

まとめると、
2030年には、内燃機関と同等の価格を実現するEVが普及する
2035年には、内燃機関と同等の価格・航続距離・充電時間を備えたEVが普及する

充電インフラの課題は解決せず、シェアリングの加速次第でEVが普及するか決まる
という事です。

個人的な予想では、2030年ごろに国内を走る自動車の10%がEVとなり、2035年ごろに30%を超えるのではないかと考える。自動車の製品サイクルが10年程度のため、今から10年間で徐々に移り始め、次の10年で一気に広まるだろうと思う。

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