CAEソフトウェア、レンタル or 買取どちらがコスパ良いか?

CAEの考え方

CAEソフトウェアの業界では、レンタルと買取の2通りの販売方法を用意している企業がほとんどです。

コストメリットなどを考え、どちらを選択すべきでしょうか。

CAEソフトウェアの販売方法

CAEソフトウェアは高価です。1000万円を超えるソフトも多いため、契約は慎重に行いたいものです。

ライセンスの販売方法は、大きく「買取保守」と「レンタル」に分けられます。

住居でいうところの「購入」か「賃貸」のようなものです。

買取保守とレンタルの価格は、以下のような関係にあることが多いです。

買取保守       = ソフトウェア買取価格+年間保守費用(保守費用は買取価格の1/4が相場)
レンタル価格= 買取価格の1/2〜1/3程度/年

たとえば、ソフトウェアの買取価格が1000万円のソフトを購入する場合を考えます。

「買取保守」は、最初に1000万円のソフトを購入します。ソフトウェアの利用権利は永久に手に入ります。その後は、250万円程度の保守費用を支払います。保守費用は、技術サポート(操作方法などの問い合わせ窓口の利用)と、最新バージョンへのアップデートを利用するために支払います。

「レンタル」は、毎年500万円程度のレンタル費用を支払います。ソフトウェアの利用権利は1年のみで、毎年契約を更新して500万円を支払います。

買取保守は、初期投資がかさみますが、数年で元が取れます。

レンタル・買取どちらが良い?

では、レンタルと買取保守、どちらがよいのでしょうか。

買取のメリット・デメリット

長期で見た場合のコストメリットは買取が勝ります。

たとえば、買取価格1000万円/年のソフトウェアを買い取りする場合、4年以上使うのであれば買取で元が取れます。

デメリットとして、初期投資が大きい、固定資産にも該当するなど、一部金銭面での不利があります。

買取契約で、保守を一旦切ると、次に保守契約を再開する際に、保守契約が切れていた期間の保守料をまとめて請求されることがあります。ソフトウェアやベンダーにもよりますが、実際このようなバカみたいな方法がまかり通っています。保守契約を切る際にも注意が必要です。

レンタルのメリット・デメリット

メリットは、計画の変更に対して対応しやすい、1年でなく半年や数か月の利用も可能、という点です。資産化しないため、研究投資の税制優遇の対象となる場合があり、法人税負担が軽減される場合もあります。

デメリットは、継続して数年利用する場合にコスト面で不利です。3-4年以上利用する見込みがあるのであれば、買取・保守に切り替える方が得策です。

どう判断するか

見積もりをレンタル・買取どちらも取得し、利用期間から判断すべきです。

初期投資が可能か、

導入の初期から買取をするのはお勧めできません。レンタルで1-2年使ってみて、使いやすい、今後も利用するだろう、という見込みを立ててから、購入することをお勧めします。

memo
筆者個人の見解を示します。汎用的なソフトウェア(ANSYSなど)は、利用頻度も高くなると考えられ、買取保守契約でも元が取れそうです。特定の機能に特化したソフト(使用頻度も高くない)は、レンタルで必要な期間だけ使う、という方法が有効だと考えます。

平均的なライセンス価格

ライセンス価格はそのソフトウェアの汎用性や高度さやニーズの多さ、使っているユーザの質によってさまざまで、一概には言えません。

私の勝手な印象では、平均的な価格はレンタル価格で100〜300万円/年・ライセンスで、ハイエンドなソフトウェアや、マニアックな機能を備えたソフトウェアだとレンタルで500万円/年・ライセンスを超えます。

また、HPC(High Performance Computing)のための、計算実行時の並列数(多いほど計算実行時間を短縮できる)ごとにライセンス価格が上がる傾向にあり、流体解析系のライセンスなどは、8並列追加に年間数百万(レンタル)というのがザラです。

ライセンス価格の裏事情

ちなみに、ライセンス価格には裏事情があります。

それは、販売相手(ユーザ)によって、ライセンス価格が異なるという事です。

特に、多くのライセンスを購入する超大企業は、(その程度は不明ですが)ディスカウント=特別割引が適用されていると考えられます。

また、一般的にはライセンス単価×ライセンス数の価格で購入しますが、購入企業内でライセンス数無制限で使い放題となる「カンパニーライセンス」を取り扱うベンダーも存在しています。

カンパニーライセンスは非常に高価(億単位と思われる)ですが、ユーザ数の多い企業には大きなメリットがあります。

まとめ

CAEソフトウェアの買取・レンタルのどちらがよいかを紹介しました。

利用期間が4年以上であるなら買取保守のほうがメリットが大きい、レンタルは都度必要な期間だけ使えるため、使用頻度の低いCAEソフトはレンタルで、というのが結論です。

参考になれば幸いです。

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