EVの充電時間の長さを解決する方法として、電池交換ステーションが流行り始めています。
特に中国で活発に開発が行われている電池交換ステーションについて、中国の電池大手のCATLがEVOGOというサービスを提供しています。
CATLとは

CATL(Contemporary Amperex Technology Co., Ltd)は、中国の大手電気自動車(EV)用バッテリーメーカーです。2011年に設立された同社は、EV用リチウムイオン電池の生産に特化し、Tesla、BMW、トヨタなど、さまざまなグローバル自動車メーカーに電池を供給しています。
CATLは急速に事業を拡大し、世界最大かつ最先端の電池メーカーとしての地位を確立しています。
EVOGOとは

CATLは電池製造事業に加え、EVOGOと呼ばれる電池交換サービスも展開しています。
EVのオーナーは、指定された電池交換ステーションで、消耗した電池パックをフル充電したものと交換することができます。
このステーションでは、EVに搭載された電池パックを満充電のものと交換します。交換できる専用の車両設計は必要ですが、充電に数十分必要という課題を解決しうる技術です。
ドライバーは車をステーションに入庫するだけでよく、EVの使い勝手と普及を大きく向上させる可能性を秘めています。
他社の提供する電池交換ステーション
電気自動車用のバッテリー交換ステーションを提供している企業は、他にもいくつかあります。
テスラ

テスラは、2013年に導入されたバッテリー交換プログラムを提供していましたが、その後廃止されました。このプログラムでは、テスラ・モデルSのオーナーは、テスラの特別なステーションで、消耗したバッテリーパックをフル充電されたものと交換することができました。
NIO

NIOは中国の電気自動車会社で、自社の車のバッテリー交換サービスを提供しています。このサービスでは、NIOのオーナーが指定されたNIO Power Swap Stationで、消耗したバッテリーパックをフル充電されたものと交換することができます。
BAIC BJEV

中国の大手自動車メーカーである BAIC Motor Corporation の子会社であるBAIC BJEVは、電気自動車向けのバッテリー交換サービスを開発、提供しています。このサービスは、NIOのバッテリー交換プログラム近いものです。
電池交換のスピードと効率

実際の電池交換時間は、電池交換を待つ車両の数、電池パックのサイズ、ステーションの設備や人員の効率など、いくつかの要因によって異なるため、一概に比較できませんが、公表されている数値では以下の通りです。
サービス | 公式の公表 | 実態 |
---|---|---|
NIO | 3~5分 | 5分20秒 |
BAIC BJEV | 3~5分 | 2分 |
CATL | 1分 | 3分 |
CATLの公表値では、他のサービスと比較して早いと発表しています。EVOGOの発表会見のプレゼンでは60秒でバッテリー交換が可能と銘打っていますが、車両の位置調整などあわせると実態は3分は必要なようです。

JVが製造するセダン、Dongfeng Fukang ES600をベースにした最新のEVの交換を披露し、3分で車両のバッテリーが交換できることを示したようです。
ガソリン車がガソリンの満充填に4分ほどの時間が必要と考えると、充電時間のデメリットは解消しきったと言えます。

BAIC BJEVのサービスについては、EVタクシーの電池交換の様子を録画した動画がYotubeに掲載されており、約2分で電池の交換が可能のようです。
NIOの提供するバッテリー交換ステーションについては、以下の記事でも触れています。
参考:中国NIOのEVバッテリー交換ステーション技術とは。実態は?所要時間は?
バッテリー交換ステーションの課題
バッテリー交換ステーションはまだ比較的新しい技術であり、解決しなければならない課題があります。コスト、標準化、インフラ整備などです。
ステーションは、ドライバーが容易にアクセスでき、交通量の多い場所に設置する必要があり、建設と維持にはコストがかかります。また、消耗したバッテリーパックの交換費用も高額になり、このコストはサブスクリプションの料金に含まれることになります。また、各社OEMのEVに対応する交換用バッテリーを標準化し、業界内で統一する意識が不可欠です。決して電子マネーのような乱立を許してはなりません。
まとめ
CATLのEVOGOについて紹介しました。
充電時間の問題を解決する技術のひとつです。日本でも同様の技術が導入されると、充電インフラの課題は解決できるものと思われますが、専用の車両設計や、車両台数が増えた際に対応できるのかなども含めて、課題は多いように感じます。
そうこうしているうちに、自動運転とシェアリングエコノミーが広がり、自分で車を所有しなくなると、充電の問題は一般消費者の意識から遠のくことになるかもしれません。
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