スマホ製造の大手、鴻海がEV事業に進出してきています。
特に、鴻海のEV量産向け開発プラットフォームMIHの展開が始まっており、このMIHを活用した鴻海のEV開発プロジェクト「プロジェクトX」についても注目が集まっています。
本稿では、鴻海のHIMとプロジェクトXについて紹介します。
オープンプラットフォーム:MIHとは
鴻海は、EV量産に向け、世界の部品メーカーなど2000社以上と協力するプラットフォーム「MIH」を展開しています。MIHは、Mobility in Harmonyの略称とのことです。
このMIHのコンセプトは注目に値します。
MIHを用いることで、鴻海などのEVを製造する企業は、EVを簡単に開発・カスタマイズすることができます。鴻海は、HIM上で展開されるオープンソースのオペレーティングシステム、標準化されたバッテリーシステム、さまざまなセンサーや接続オプションを、世界標準とすることを狙っています。
テスラやNIO、従来の自動車メーカーが標準化されたプラットフォーム(MIH)を利用すれば、新しいEVの開発コストと市場投入までの時間を削減することがきます。スマホのような、従来では考えられないスピードで、毎年新型のEVが開発される世の中を、MIHは実現しようとしています。

HIMのモジュール設計は、LEGOのようなイメージです。
最初は、スケルトンのデザイン案(右上)が生まれ、そこからボディパネルなどを追加していきます。

どのセグメントの車両を開発したいかを選択すると、モジュールのサイズを適宜変更し、シャシーやボデーを設計できます。

要件(最大出力や最高速、航続距離の目標)に合わせて、モータの種類やバッテリーの量を選択、車両に搭載します。

これらのモジュールをくみ上げることで、容易に自動車の設計が可能になるとしています。
TNGAとの差異は?
MIHは、トヨタの車両設計思想であるTNGAと概念は近い一方で、TNGAより具体的です。
TNGAが設計思想であるのに対して、MIHはモジュール設計手法です。
思想ではなくシステムである故に、ビジネスとして他社展開が容易であり、標準として定着させやすく、目に見えるために普及もさせやすいものと考えます。
プロジェクトX

「プロジェクトX」は、鴻海が自社ブランドで様々なEVモデルを発売する計画の社内コードネームです。
プロジェクトXの最初の1台は既にお披露目されており、3シータのデモカーが公表されています。

プロジェクトXでは、インドやタイ、インドネシア、日本などの小さい車両の好まれるマーケット向けに3シータの車両を開発しつつ、同様のプラットフォームで1年後には6シータに、その翌年には9シータに、といった車両の開発を検討しています。

MIHのDEMO DAYにて、私たちのような一般市民も、プロジェクトに貢献できるとしています。
プロジェクトXの今回の車両について、思ったことをProjectXに提案できるとのことです。
もし興味あがれば、QRコードからアンケートに回答してみてください。
まとめ
鴻海のオープンプラットフォームMIHとプロジェクトXについて解説しました。
プラットフォームが本格的に普及するようになると、EVの低価格化がより進行するものと考えられます。鴻海の今後の動向に注目です。
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