ANSYS Fluent は,様々なメッシュ分割法を用いてシミュレー ション用のメッシュを生成することができます。メッシュ分割の方法として、ポリヘドラル(多面体)、ポリヘキサヘドラル(多六面体)、ヘキサヘドラル(六面体)、テトラヘドラル(四面体)の、4 種類の要素分割方法が用意されています.
ここでは、それぞれの手法の特徴を紹介します。
ポリヘドラルメッシュ
ポリヘドラルメッシュは、四角形、三角形、不規則多角形など、さまざまな多角形の組み合わせで構成されたメッシュです。
曲面を含む複雑な形状を扱うことができ、構造化されていない三角形や四面体のメッシュから簡単に生成することができます。
複雑な曲面上の流体シミュレーションに適しており、乱流に対しても高い精度を発揮します。一方で、多面体メッシュは計算コストが高く、コーナーやエッジなどの鋭い幾何学的特徴を解決することが困難です。
Fluent内のメッシング機能のデフォルトのメッシュ計上であり、競合のSTAR-CCM+は、Fluentの何年も前からこのポリヘドラルメッシュを用いて計算が可能です。
ポリ・ヘキサコアメッシュ
多面体メッシュは、境界層にピラミッド型または四面体ウェッジを追加した六面体要素で構成されています。
曲面を含む複雑な形状を扱うことができ、ポリヘドラル(多面体)メッシュと比較して、計算効率が高くなります。乱流に対する精度が高く、境界層効果をよく捉えることができます。
ヘキサコアメッシュ
六面体メッシュは、立方体で8個の節点を持つ六面体要素で構成されています。
計算効率が高く、コーナーやエッジなどの鋭い幾何学的特徴を正確に表現することができます。箱や円柱のような単純な形状上の流体シミュレーションに適しています。
しかし、他のメッシュ法よりも多くの節点が必要となり、複雑な形状を生成することが困難な場合があります。
テトラヘドラルメッシュ
四面体メッシュは、ピラミッド型の四面体要素で構成され、それぞれ4つの節点を持ちます。曲面を持つ複雑な形状上の流体シミュレーションに適しています。
大きな変形を扱うことができ、過渡的なシミュレーションでは計算効率が高くなります。しかし、定常流のシミュレーションでは計算コストが高く、また、同等の精度を得るためには他のメッシュ法よりも多くの要素を必要とする場合があります。
メッシュの特徴まとめ
特徴を表にまとめると、以下の通りです。
メッシュタイプ | 特徴 | メッシュ作成コスト | メッシュ数 | 計算精度 |
---|---|---|---|---|
Polyhedral mesh | 様々な多角形の組み合わせ | 高い | 少ない | 良い |
Polyhexahedral mesh | 六面体要素・ピラミッド・四面体 | 普通~高い | 少ない | 良い |
Hexahedral mesh | キューブ上の要素から成る | 低い~普通 | 少ない | とても良い |
Tetrahedral mesh | ピラミッド型の四面体要素 | 高い | 多い | 良い~とても良い |
とりあえず何選べばいいの
ANSYS Fluentのデフォルト設定では、ポリヘドラルが標準となっています。
CAEソフトあるあるですが、まずデフォルトの設定で計算してみて、何か不具合や不都合があれば、他のメッシュに変更していくことが望ましいです。
VOFのレベルセット法ではポリヘドラルが使えず、テトラメッシュで計算する必要がある、など、モデルによってはポリヘドラルメッシュに対応していない場合があります。
その都度、適切なメッシュを選択するようにしましょう。
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