中国の政策はEVから燃料電池にシフトする

上海 技術系読みもの

欧州・中国を中心に、排ガス規制に伴う自動車の電動化が進んでいる。

世界最大の自動車市場である中国では「NEV規制」と呼ばれる国策によりEVに助金が充てられ、年間125万台(2018年)のEVが販売されている。今後も中国でのEVの伸びは続くと考えられる一方で、EVの補助金政策の転換を図っている中国政府は、燃料電池車(FCV)に注目し始めている

2018年5月、中国の李克強首相が日本を訪問した際、北海道苫小牧市のトヨタ自動車北海道の工場を視察、水素自動車「MIRAI」に興味を示したことがきっかけと報道されている。

中国での燃料電池利用の現状

中国でのFCV関連の動向を調査したが、FCVが実際に利用されている例はまだ少ない。

2018年の水素燃料電池車の販売台数は1527台。うち乗用車が109台、FCパスが1418台とのこと。
水素ステーション数は14箇所、建設中が28箇所とこれも少ない。2020年には100箇所の稼働を目標としている。日本では、トヨタMIRAIの販売台数が575台(2018年)、100箇所のステーションが稼働していることからも、2018年時点ではまだ手探り状態と言っていい。

水素社会に積極的な上海

このように、中国の市場シェアはまだ小さいものの、市場が大きいため販売台数も今後伸びてくると考えられる。特に、FCVは「航続距離が長い」という利点を生かした、FCバスの技術開発に中国は重点を置いているようで、2020年の目標台数5000台は達成できるとの見方が強い。

なかでも上海は、FCVの開発に積極的な上海汽車が本社を構えており、市内でのFCバスによる実証実験も行われている模様。また、FC用部品を海外から調達するとコストが高くなるため、上海ではFC関連のサプライチェーンも構築されており、今後のFC推進において重要な役割を担うと思われる。

中国FCV市場のプレイヤー

中国の燃料電池市場で存在感のある企業として下記が挙げられる。
上海再火技術有限公司:燃料電池システムを製造
雪人股价:2018年、カナダの燃料電池スタック企業Ballard社の株式を取得
ベトロチャイナ(中国石油天然気股价有限公司):水素インフラを供給

直近のFCVC2018(江蘇省如皋市で行われたFC関連の学会・展示会)では、名前を聞いたこともないような企業が大規模なプースを出展しているケースもあり、現在は中国国内FC企業の黎明期のようだ。投資家は、EV関連に注視しすぎることなく、成長著しいFCV関連企業にも目を向けるべきかもしれない。

中国政府の視点は、徐々にEVからFCVにシフトし始めている。今後の中国のNEV政策は、EVの補助金漬けで拡大したEV市場を、増えすぎた国内EVメーカーが生き残りをかけて泥沼の戦いに。FCVはこれから補助金漬けになり、上海を中心とした燃料電池市場が構築されていく、と私は予想している。

燃料電池技術で先行する日本としては、中国での市場拡大の恩恵をうけつつ、他国にキャッチアップされないよう技術開発を続ける事が重要と考える。

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