中国の電動化政策が「燃料電池」に注目する理由とは?

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中国がEVへの補助金を打ち切るようになり、中国の電動化政策の目線は燃料電池に向けられています。

燃料電池は、水素と酸素から発電し水しか出さない次世代技術で、トヨタ自動車やホンダ、ヒュンダイなどが燃料電池自動車を販売しています。

なぜ、いま中国は燃料電池に着目しているのか、詳しく解説します。

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中国が燃料電池に注目している

Bloomberg Technology China’s Father of Electric Cars Says Hydrogen Is the Future

欧州・中国を中心に、排ガス規制を伴う自動車の電動化が進んでいます。

世界最大の自動車市場である中国では「NEV規制」と呼ばれる国策によりEVに補助金が充てられてきました。

補助金が打ち切られた現在でも、年間536万台(2022年)のEVが販売されています。5年前は125万台(2018年)だったものが、4倍以上に膨れ上がっています。

今後も中国でのEVの伸びは続くと考えられる一方で、EVの補助金政策を打ち切った中国政府は、燃料電池車(FCV)に注目し始めています

2018年5月、中国の李克強首相が日本を訪問した際、北海道苫小牧市のトヨタ自動車北海道の工場を視察、水素自動車「MIRAI」に興味を示したことが、中国が水素に目を向けるきっかけになったと報道されています。

その後、2019 年 3 月の全国人民代表大会における政府活動報告において「水素・FCV 産業振興方針」が打ち出され、本格的に政策として取り組まれれうようになりました。

中国の電動化戦略が水素にシフトする理由

中国はEVおよび電池産業で大きな成長を遂げました。

国内でのEV販売は驚異的な成長を示し、海外企業の電池工場を呼び込み、当初は日本が優位であったリチウムイオン電池の産業をも手中に収めました。

中国は、次世代自動車の燃料電池についても、EVの”成功体験”を再現しようとしています。

政策支援を積極的に発表し、国外の研究者や企業を呼び込むことで、競争力で勝る日本や韓国に追いつき、燃料電池市場においてプレゼンスを高めようとしているのです。

水素インフラは増えるが販売台数は伸び悩み

「2020年に100か所の水素ステーションの開業を目指す」と宣言した中国の水素ステーション数は、2022年末で178箇所となり、世界一を達成しています。(日本は157か所)

一方で、「2020年に水素燃料電池車の販売目標台数5000台」としていた計画は、2022年でも3367台/年と目標未達に終わっています。中国国内での新車販売が2686万台であることを考えると、燃料電池車は「ほぼ売れてない」と言って差し支えないレベルです。

中国の市場シェアはまだ小さいものの、2000万台を超える巨大な中国市場では、燃料電池の販売台数も今後伸びてくと予測されています。

中国汽車工程学会の「省エネ・新エネ車技術ロードマップ2.0」によると、水素燃料電池車の保有台数が35年までに約100万台に達し、将来的な発展の余地は大きいと予測しています。特に、FCVは「航続距離が長い」という利点を生かした、FCバスの技術開発に中国は重点を置いているようです。

水素社会に積極的な上海

中国で燃料電池車の開発に積極的な上海汽車は、2020年9月、2025年までに10車種の燃料電池自動車の投入を目標に掲げました。

上海は、上海汽車が本社を構えている都市であり、市内でのFCバスによる実証実験も行われています。また、FC用部品の調達コストを抑えるため、上海では燃料電池関連のサプライチェーンも構築されており、今後の燃料電池の普及において重要な役割を担うと考えられています。

中国FCV市場のプレイヤー

FCVC2022の出展者

中国の燃料電池市場で存在感のある企業として下記が挙げられる。

  • 上海再火技術有限公司:燃料電池システムを製造
  • 雪人股价:2018年、カナダの燃料電池スタック企業Ballard社の株式を取得
  • ベトロチャイナ(中国石油天然気股价有限公司):水素インフラを供給

振り返ると、2018年が中国における燃料電池市場の黎明期でした。

江蘇省如皋市で行われた燃料電池関連の学会・展示会「FCVC2018」では、名前を聞いたこともないような企業が大規模なプースを出展しているケースもありました。

2022年に開催されたFCVC2022には、ヒュンダイ、トヨタ、ホンダも参画し、中国国外の企業やブランドが4割を占めるイベントに成長しており、中国のサプライヤーもかなり絞り込まれています。

まとめ

中国政府の視点は、徐々にEVからFCVにシフトし始めています。

今後、中国のEV企業同士の戦いは、補助金漬けで拡大したEV市場を、増えすぎた国内EVメーカーが生き残りをかけて値下げ合戦を行う、泥沼の戦いになります。

そして、これから補助金漬けになるのは燃料電池自動車であり、上海を中心とした燃料電池市場が構築されていくと考えられます。

燃料電池技術で先行する日本としては、中国での市場拡大の恩恵をうけつつ、他国に追い越されないように、技術開発を続ける事が重要と考えます。

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