機械系の技術者がChatGPTを活用する方法8選

AI・機械学習

最近大流行しているchatGPT。使い方次第で無限の可能性があるように思えるツールです。

筆者は、自動車産業に従事する機械系の技術者です。私も、自分なりに様々使ってみて気付いた点をシェアしたいと思います。

機械系の技術者に向いているChatGPTの用途

以下で、私がよく使っている用途を紹介します。

  • 用語の解説を書いてもらう
  • なぜなのか、理由を示させる
  • 専門家の意見を引用させる
  • 文章を校正して表で説明
  • 趣旨を与えて文章生成
  • 特許・論文情報の要約
  • プログラムの生成
  • CAEソフトウェアの使い方を調べる
  • 要因と対策を洗い出してもらう

仕事上や勉強、趣味で書いているブログに活用する方法などを紹介します。

用語の解説を書いてもらう

「chatGPTとは」「重回帰分析とは」のような、独自の情報を必要としないブログ記事文面は、chatGPTに書いてもらうようにしています。

自分が既に知っている内容を書いてもらうことが多いため、内容が正しいかの判断も自分で行います。(よほど間違っていることはありません)

用語の中でも、「重回帰分析とは」のような少し小難しいモノは、なるべく簡単に、あるいは別のものに置き換えて説明させる工夫が必要です。

重回帰分析を、何か別のもので例えて説明して

また、説明相手を明確にして指示することも望ましいです。

重回帰分析を、機械エンジニアでもわかるように、何か別のものに例えて説明して。

以下のような答えが返ってきます。

GPT-4
GPT-4

重回帰分析を理解しやすくするために、それを「機械の設計と調整」に例えてみましょう。

想像してみてください。あなたは複雑な機械を設計している機械エンジニアです。この機械は、さまざまな入力(例えば、温度、圧力、速度など)を受け取り、特定の出力(例えば、機械の効率や性能)を生み出します。ただし、この機械は非常に複雑で、どの入力が出力にどのように影響するかは一見しただけではわかりません。

ここで重回帰分析が役立ちます。重回帰分析を使うことで、各入力変数(温度、圧力、速度など)が出力変数(機械の効率や性能)にどのように影響するかを数学的にモデル化し、理解することができます。具体的には、それぞれの入力変数が出力にどの程度貢献しているか、つまり、各入力変数の重要度を定量的に評価することができます。

このプロセスは、機械の「最適化」に似ています。入力変数の調整(つまり、重回帰分析で求めた係数や重みを使って)により、機械の性能を最大限に引き出すことができます。また、どの入力が性能に最も大きな影響を与えるか(またはほとんど影響を与えないか)を知ることで、エンジニアはより効率的に機械を設計し、改善することができます。

要するに、重回帰分析は、複数の入力変数がある場合に、それぞれの入力が最終的な結果にどのように影響するかを理解するためのツールです。機械エンジニアリングの文脈に置き換えると、機械の設計と最適化のプロセスに非常によく似ています。

まあまあ正しいです。

上手い入力文(クエリ)によって、望む出力を得る方法をプロンプトエンジニアリングと呼んだりします。プロンプトエンジニアリングはChatGPTでも重要で、世界中の人たちがChatGPTに様々な質問を投げかけながら調査しています。

大規模言語モデルを使いこなすためのプロンプトエンジニアリングの教科書」といった書籍も出版されており、世の中でもよく知られた用語になっています。

なぜなのか、理由を示させる

専門書などで技術を調べていると、「なぜ?」と疑問に感じることが多くあります。そんなときに、すぐにchatGPTに質問して解消できるようになりました。学校の先生にすぐに質問できるような気分です。

リチウムイオン電池の負極に黒鉛がよく用いられるのはなぜ?高校生でもわかるように説明して。

webで技術的な記事を読んでいるときや、論文を読んでいるときにも、疑問に思ったことをChatGPTで調べることができます。

これまでは不明点を都度web検索して、必要な情報を探していましたが、ChatGPTの登場で、この作業が劇的に早くなりました。

専門家の意見を引用させる

なるべく専門家の意見を多く引用して、流体力学を学ぶ大切さを教えて

誰かの発言を引用することもできます。

過去の専門家の意見を引用させて説明させることで、プレゼンの中身に権威性を持たせることもできそうです。(私はあまりやっていませんが)

文章を校正して表で説明

ブログ記事の文章の校正をchatGPTにお願いしています。

以下の文章の校正をして、どこを修正すべきかを理由も含めて表形式で示してください

文章校正と、なぜそのように修正するのかも含めて示してくれます。殴り書きで書いた文章をチェックしてもらう用途に向いています。

ChatGPTが校正した文章が、好みの文体かどうかは賛否両論あります。文章の”好み”を言語化してChatGPTに伝えることができれば、自分好みの校正をお願いすることもできるようになるかもしれません。

ChatGPTの生成する文章には癖があります。特に英語を日本語に訳したような表現が多く、「高いシェアを誇ります」で済む話が「市場をけん引する非常に重要なリーダーを担っています」といった冗長な表現も多いです。また、断定表現を避ける傾向があり、特に技術的な内容に関しては「性能に寄与する可能性がある」といったように断定しません。

ブログや報告書を書いてもらう

ブログなどに使う文章を生成できます。当然、報告書などの文章も生成可能です。そのまま報告書にできなくても、下書きを生成するには十分です。

以下の趣旨の報告書を書いて

・ジャパンモビリティショー2023に出張した
・電動化にむけた日本企業の努力が垣間見えた
・なかでもレクサスのブースは未来を感じた

具体的な情報は、web検索で調べてもらうことで情報を得ることもできます。

ジャパンモビリティショーでのレクサスの展示について調べて

ChatGPTの出力する文章は比較的客観的で、個人的な意見や感情表現は含まれません。そこが、個人意見の文章としての主張を減らしてしまっているようにも感じます。以下のようなプロンプトによって、ChatGPTに感情的な表現を入れてもらうこともできます。

先ほどの報告書をより具体的な内容にしてもらえますか?
文章を、少しだけ感情的な表現も交えて加筆修正してもらえますか?

ただ、報告書にしてはあまりにもダラダラと書いてしまっているので、冗長表現を減らして、結論から書くように指示します。

冗長表現を減らして。結論を先に書いて

ジャパンモビリティショー2023でのレクサスの展示は、技術革新と情熱が融合した未来への約束を示してくれました。特に「LF-ZC」と「LF-ZL」のコンセプトカーは、電動化の先を行く革新性と美学を体現。加えて、「RZ OUTDOOR CONCEPT(JAPAN STYLE)」と「LEXUS ROVコンセプト」は、レクサスが提案する多様なモビリティ体験の可能性を示しました。これらの展示からは、ただ技術を追求するだけでなく、人々の生活を豊かにする未来を見据えたレクサスのビジョンが感じられます。

日本の自動車メーカーは、電動化への道を力強く進んでいます。ジャ…(以下略)

このように、具体的情報を持たせた、ある程度のクオリティの報告書は容易に生成できてしまいます。

特許・論文情報の要約

特許や論文を読む際、その内容を先にざっくり把握してから読み進めると、理解が早まります。

特許文献は、他社に内容が解釈されにくいように、あえて難しい日本語で書かれています。特許情報をコピペして、内容を簡単に書き換えてもらうことができます。

以下の文章を、素人でも理解できるように箇条書きで解説して。

などのプロンプトを入力すると、分かりにくい文章を整理して教えてくれます。また、論文から抽出したい情報が確定している場合、論文を全部コピペして尋ねることもできます。

この論文は、X線回折を使って粒径分布をみてますか?

この論文が何を言いたいのかざっくり知りたい場合は、以下のようなプロンプトを活用するようにしています。

この論文では何を明らかにしようとしていますか? この論文で得られた技術的知見を定量的に教えて

プログラムの生成

プログラミングをChatGPTに任せることで、自分の実現したい機能を実装できます。

機械系の技術者は、教育でプログラミング言語をしっかりと学ぶ機会が少なく、実務でもプログラミングの機会はあまり多くありません。コーディングのアイデアをChatGPTに指示することで、プログラミング言語を学びながら、やりたいことを実装できます。

・FEMで応力分布を可視化するコードをpythonで書いて
・CFDでガス流れを計算するコードをpythonで書いて
・ボクセル構造をSTLで出力するコードを書いて

などと指定すると、意図したように動く(かもしれない)コードが出力されます。

コード生成中に、出力が止まることがあります。返信の生成時間が1分程度に制限されているのかもしれません。その場合は、

for i in range(X.size): if X

This is not the end of the story. Please output the rest.

などのように、コードの続きを出力させるような質問文を入れてみると、続きを出力してくれます。

コードが長すぎると感じる場合は、以下のように追加してもよいでしょう。

コードはなるべく簡潔に。

コーディングを任せるメリットは、意図したように動くかどうかは、自分自身で確認できる点です。コードを実際に実行してみて、意図した結果が得られるかどうかを検証します。

ChatGPTの生成するコードは信用しすぎないようにしましょう。特にセキュリティ面では脆弱性のあるコードを書いてしまう可能性があります。

セキュリティに問題がないか、chatGPTに確認させるのもよいかもしれません。

CAEソフトウェアの使い方を調べる

ChatGPTは、思った以上に多くのことを知っています。たとえば、ANSYS Fluentの操作に関することや、計算の収束安定性を向上させる方法など、かなり具体的に教えてくれます。

CAEソフトのサポート窓口に問い合わせる前に、まずChatGPTに聞いてみるのもお勧めです。

要因と対策を洗い出してもらう

問題が発生した時の要因解析をやってくれます。

問題解決の手法が理解できていれば、その型通りにChatGPTに指示をすると、具体的な対策も含めて出力してくれます。

この二日のブログへのアクセスが少ないです。考えられる要因を20個挙げて、なぜなぜ解析をしてください。すべてに対して対策を教えてください。表形式でお願いします。

ブログへのアクセスが少ない原因とその対策についての「なぜなぜ解析」と対策を表形式でまとめてみます。ここでは、一般的な要因とその対策を20項目で提案しますが、具体的な状況に応じてさらなる分析が必要になるかもしれません。

使い方の工夫

日本語はレスポンスが悪い

日本語で出力させるのはレスポンスが悪いです。英語でも日本語でも、質問に対する回答の質は大きく変わらないのですが、英語の方がレスポンスが早いので、リクエストをDeepLで英訳して投入する方が素早いレスポンスが期待できます。

日本語は複数の文字体系、複雑な文法規則、膨大な語彙を持つ言語であるため、他の言語と比較して応答生成に時間がかかるのかもしれません。あるいは、日本語のテキストは他の言語に比べて文字数が多いため、処理時間が遅い可能性もあります。

レスポンスの遅さに関しては、新しいチャットを立ち上げると改善することもあります。

数学・数字は弱い

自然言語処理をベースにしているため、数字の扱いは慣れていないようです。どのようなものであっても、出てきた数値を鵜呑みにしないようにしましょう。

たとえば、日本の人口をchatGPTに質問する場合でも、その数値が本当に正しいのか、信頼できる情報源で確認することをお勧めします。

また、論文中の数値を抽出するように命令しても、勝手に「それっぽい数字」を生成することもあります。表示された数値が本当に論文中の値なのか、問いかけが必要です。

一次情報を大事に

chatGPTの登場で、webに転がっている情報の寄せ集めのブログ記事は、価値が薄れていくように思います。

個人の発信する内容は、自分で取ったデータ、自分でやってみたことなど、一次情報の発信を心がけて情報発信をしていかないと、誰にも必要のない記事を書き続けるだけのメモ帳になってしまうと感じます。

おすすめのChrome拡張機能

Chromeの拡張機能として、ChatGPTを利用したものがあります。おすすめは以下の2つです。

  • WebChatGPT
  • GPT Macros

WebChatGPTは、ChatGPTに最新のweb検索結果を読ませてから回答させることができるようになります。2021年末時点までの情報しか持たないChatGPTの弱点を補う機能です。

GPT Macrosは、よく使うプロンプトを記録しておいて、すぐに実行できるようにする拡張機能です。地味に便利です。

ついでに、試してみたもののあまり有用でなかった拡張機能も紹介します。

  • AIPRM for ChatGPT
  • ChatGPT for Google

AIPRM for ChatGPTは、ブログ作成に特化した拡張機能です。機能と用途が豊富すぎて混乱するレベルで、GPT Macrosに移行しました。

ChatGPT for Googleは、Google検索の結果に、ChatGPTの回答も添えてくれるものです。検索する度にChatGPTの履歴が残るので邪魔で消しました。

あくまでサポートツール

ChatGPTはあくまでサポートツールで、すべてを任せられるものではないと思います。また、質問をして回答してもらうイメージが強いですが、どちらかというと「自分のやってることを代わりにやってくれる」という使い方が正しそうです。

ChatGPTの特性を理解して、ツールの使いこなしが上手くなれば、より生産性の高い生き方ができるのではないでしょうか。

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