ブルー水素・グリーン水素について、私たちが日常的に耳にすることが増えてきました。しかし、これらの用語が具体的に何を指すのか理解している人はまだまだ少ないかもしれません。
そこで今回の記事では、ブルー水素とグリーン水素について詳しく解説します。これらの水素の種類や製造方法、それぞれの特徴や課題について、分かりやすく説明していきます。
エネルギー転換において注目を浴びているグリーン水素の可能性についても触れながら、持続可能な未来への一歩としての重要性を考えていきましょう。
ブルー水素とグリーン水素
水素は化学的な性質上、無色透明なガスです。
しかし、水素がどのようなプロセスで生産されたかによって、色分けされることがあります。
具体的には、化石燃料をベースとしてつくられた水素は「グレー水素」と呼ばれています。
一方、製造工程のCO2排出を抑えた水素は「ブルー水素」と、「再生可能エネルギー」(再エネ)などを使ってCO2を排出せずに製造された水素は「グリーン水素」と呼ばれています。
ブルー水素の作り方
ブルー水素は、CO2排出を抑えた水素のことを指します。
具体的には、水素の製造時に排出されたCO2を空気中に逃がすのではなく、地下深くに埋めてしまう方法で水素を製造することによって、CO2の排出を防ぎます。
ブルー水素は、化石燃料を原料として使用するため、一部のCO2排出は避けられませんが、CO2回収技術を導入することで、その排出量を大幅に削減することを目指したものです。
CO2を回収して地中に戻すことをCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)と呼びます。
地中にCO2を戻す試みは、1970年代から行われており、地殻中の石油を効率よく採取するためにCO2ガスを地殻に圧入し、石油を押し出すことを行ってきました。これはCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)とも呼ばれており、業界ではよく知られた手法です。
グリーン水素の作り方
グリーン水素は、再生可能エネルギーを利用してCO2を排出せずに製造された水素です。
一般的な水素の作り方とは異なり、水を電気で分解する「電解」と呼ばれる製造方法が使用されます。グリーン水素の製造には、主に以下の2つの電解方式が存在します。
- アルカリ型水電解装置
- 固体高分子(PEM)型水電解装置
アルカリ型水電解装置(AWE)はアルカリ溶液と電力を使用して水素と酸素を製造します。アルカリ型の装置はコストや稼働時間の観点から優れています。
固体高分子(PEM)型水電解装置は、再エネに大きく影響を受ける発電量に対する柔軟性やコンパクト性を持っています。
研究開発段階の技術として、固体酸化物型水電解(SOEC)装置が挙げられます。将来的に有望な技術として注目されています。
グリーン水素のデメリット
一方で、グリーン水素にはいくつかのデメリットも存在します。
その中で最も大きな問題は価格です。
現時点では、グリーン水素の製造コストが高く、市場での競争力が限定的です。
IEA(国際エネルギー機関)の試算によれば、グリーン水素の価格は3~8ドルです。ブルー水素の1~2ドル、グレー水素の0.5~1.7ドルに対して高価であることは否めません。
また、製造に使用される再エネの設備や技術も高額であるため、グリーン水素の価格を抑えることは課題となっています。
今後の展望と取り組むべき課題
グリーン水素の普及を促進するためには、いくつかの課題に取り組む必要があります。
まずは、水電解装置の開発を進めることが重要です。水電解装置はグリーン水素の製造に欠かせない技術であり、装置そのもののコストを低減することが求められます。
また、再エネの価格を下げることも重要な課題です。風力や太陽光などの再エネの普及によって、グリーン水素の製造に必要な電力のコストを低減することができます。
まとめ
グリーン水素は持続可能なエネルギー源としての潜在能力を秘めており、気候変動対策やエネルギー転換において重要な役割を果たすことが期待されています。
技術の進歩によって、より効率的で経済的なグリーン水素の製造・利用が実現されることでしょう。
関連記事
コメント