パワー半導体メーカー市場シェアランキング

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EVの普及によって今後市場の拡大が予想されるパワー半導体。動力部品の電圧昇圧に用いるインバータに用いられるパワー半導体のメーカーの市場シェアランキングを紹介します。

個別企業について、それぞれの企業の取り組みも併せて紹介していきます。

パワー半導体のシェアランキング

順位企業シェア
1インフィニオンドイツ21.4%
2オンセミコンダクター米国10.1%
3STマイクロエレクトロニクススイス8.5%
4三菱電機日本5.2%
5富士電機日本4.7%
6ビシェイ・インターテクノロジー米国4.1%
7東芝日本3.7%
8ネクスぺリアオランダ3.2%
9ローム日本3.2%
10アルファ&オメガ・セミコンダクター米国2.6%
パワー半導体の2022年世界シェア(英オムディア調査より当サイト作成)

インフィニオンは21.4%のシェアで市場をリードしており、2位のオンセミコンダクターのシェア10.1%と比較してもその差は顕著です。インフィニオンがパワー半導体分野で強い市場支配力を持っていることを示唆しています。

日本の企業の存在感もあります。上位10社中、4社が日本の企業です(三菱電機、富士電機、東芝、ローム)。これは、日本がパワー半導体分野で重要な役割を果たしていることを示しています。ただ、日本企業の個々のシェアは比較的小さい点には留意が必要です。

パワー半導体の2022年世界シェア(英オムディア調査より当サイト作成)

シェアの上位には、ドイツ、米国、スイス、日本、オランダの企業が名を連ねています。シェアの割合から見ると、4位以下の市場は比較的分散しており、複数の企業が競争していることがわかります。様々な国の企業がそれぞれのポジションを確立しており、市場は多様なプレイヤーで構成されています。

インフィニオン

インフィニオンは一位も、日本国内では4位に留まります。インフィニオンは、22年日本国内のパワー半導体市場シェアで4位だった。欧米や中国市場とは異なり、日本では三菱電機やルネサスエレクトロニクスをはじめ日系メーカーの地盤が残るためです。

インフィニオンが日本でさらに上位を目指すには、日本顧客のメイン・サプライヤーになる必要があり、品質だけでなく信頼を勝ち取る必要があります。

日本での事業は健闘しており、22年度は全世界の売上高の11%を占めています。

オンセミコンダクター

米国のオンセミコンダクターはIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)製品の数でInfineonに次ぐ市場での大きな市場シェアを持っています。

同社は自動車、産業、クラウドパワーなどの分野でリーダーシップを確立しています。

オン・セミコンダクター(ON Semiconductor)は半導体を製造する企業で、本社はアメリカのアリゾナ州にあります。元々はモトローラ社の半導体コンポーネント・グループから独立して設立された会社で、1999年に始まりました。

オン・セミコンダクターは、モトローラから引き継いだディスクリートやアナログなどの半導体を製造しており、近年は次世代のSiCパワー半導体も開発しています。

STマイクロエレクトロニクス

STマイクロは、パワー半導体全体では3位の位置につけていますが、今後期待されるSiC半導体パワーデバイスではシェア1位の企業です。1987年に設立された半導体製品を設計、開発、製造、販売するグローバル企業です。本社はスイスのジュネーブにあります。

STマイクロエレクトロニクスは、自社で半導体のウェハ工場を所有・運営しており、製品の製造も自社で行っています。特に自動車電動化の構造的トレンドによって成長が期待されています。同社の主要な顧客には、BMWやテスラなどの大手自動車メーカーが含まれます。

三菱電機

三菱電機はパワー半導体で世界シェア4位の企業です。特に日本の自動車メーカーおよびサプライヤーとのつながりの強い企業です。

熊本県に新しい8インチSiCウェハー工場を建設し、約1000億円を投資する予定です。この工場は、大口径8インチSiCウェハーを製造し、エネルギー効率と自動生産効率の高いクリーンルームを導入します。また、6インチSiCウェハーの生産設備も強化することで、6インチの需要にも応える予定です。

富士電機

富士電機は電気自動車(EV)の電力制御などに使うパワー半導体に重点を置いています。国内工場に炭化ケイ素(SiC)製パワー半導体の生産ラインを新設し能力を増強するなど、2019年から2023年度に年400億円、2024年度から2026年に年700億円を半導体事業に投資しています。

松本工場(長野県松本市)に、ウエハーに回路を形成する「前工程」の生産ラインを整備し、次世代パワー半導体であるSiCに関しても生産していくとしています。

富士電機のパワー半導体事業の強みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

ビシェイ・インターテクノロジー

ビシェイ・インターテクノロジー(Vishay Intertechnology)のパワー半導体事業では、パワーIC、スマートロードスイッチ、ボルテージレギュレータ、DC/DCレギュレータモジュール、パワーステージ、アナログスイッチ、マルチプレクサーなどを含む幅広い製品を提供しています。

Vishayの製品は自動車、航空宇宙、軍事、コンピュータ、消費者向け、産業、医療、通信など幅広い市場で使用されています。VishayはMaxPower Semiconductorを5000万ドルで買収し、シリコンおよびSiC MOSFET製品の知財および市場シェアを拡大しました。

東芝

東芝は、エレクトロニクスデバイス&ストレージソリューションズ事業を含む新しい会社「デバイス社」を立ち上げることで、パワー半導体セクターの強化を図っています。デバイス社は、シリコン半導体、化合物半導体、光半導体、アナログ集積回路などを開発しています。

東芝は、パワー半導体の製造および増量生産において、市場シェア9位のROHMと協力する計画です。

ネクスぺリア

Nexperiaは、高電圧パワー半導体の需要増加に応えるため、産業用途向けの600Vデバイスを含む初のIGBTデバイスを販売しています。

Nexperiaは三菱電機と戦略的パートナーシップを結び、SiCパワー半導体の共同開発にも取り組んでいます。

ローム

ローム(ROHM)は、パワーおよびアナログソリューションに注力し、エネルギー節約と製品の小型化に貢献することで社会問題を解決するという経営ビジョンを掲げています。

ROHMは、世界で初めてSiC MOSFETの量産を開始して以来、業界をリードする技術を開発し続けており、2020年には第4世代SiC MOSFETを発表しました。

ROHMは東芝との間でパワー半導体の製造に関する戦略的提携を結んでいます。この提携により、両社はSiCおよびSi(シリコン)パワー半導体に集中的な投資を行い、国際競争力を高めることを目指しています。

アルファ&オメガ・セミコンダクター

アルファ&オメガ・セミコンダクター(Alpha and Omega Semiconductor, AOS)は、2000年にシリコニックス社(Siliconix Incorporated)のエグゼクティブバイスプレジデントを歴任したマイク・チャン(Mike F. Chang, Ph.D.)によって設立されました。AOSは、ディスクリートおよびIC半導体プロセス技術、製品設計、先進的なパッケージングノウハウの統合を通じて、市場に革新的な製品を提供してきました。

製品ラインアップには、パワーMOSFET、IGBT、IPM、パワーIC、TVS、シリコンカーバイド(SiC)などで、自動車、クラウド、コンピューティング、コンシューマー、産業、モータードライブなど、さまざまなアプリケーションが顧客となります。

AOSはスマートフォンやタブレットなどの電子デバイスの急速充電機能に関連する製品を供給しており、Apple、Lenovo、Google、Samsungなどの大手企業が顧客として挙げられています。AOSはEnphase EnergyやSolaredge Technologiesなどの太陽光発電関連企業や、LGなどの家電および通信機器製造業者にも製品を供給しています。

SiCの占める割合と市場規模の見通し

パワー半導体市場規模の推移とSiCの割合(2023年以降は予測)

パワー半導体市場は2022年に489億ドルと評価され、2023年から2032年までのCAGR*は4.5%で成長すると予測されています。2032年には751億ドルに達するとされており、今後継続的な成長が見込めます。

自動車各社の北米、中国、欧州でのEVの電動化計画を考えれば、インバータに必要なパワー半導体の需要が継続的に増加することはほぼ確実と考えられます。パワー半導体メーカー各社は、将来を見据えた設備投資と、垂直統合に向けた企業買収・協業を加速させているのが現状です。

*CAGR(Compound Annual Growth Rate(複合年間成長率)の略で、ある期間における平均的な成長率を示す)

従業員数と事業規模の比較

順位企業従業員数売上高
(2022)
1インフィニオン
(Infineon)
約47,000人1兆3061億円
2オンセミコンダクター
(ON Semiconductor)
約34,000人約9,056億円
3STマイクロエレクトロニクス
(STMicroelectronics)
約48,000人約19,542億円
4三菱電機
(Mitsubishi Electric)
約147,000人約5,648億円
5富士電機
(Fuji Electric)
約27,000人約3,717億円
6ビシェイ・インターテクノロジー
(Vishay Intertechnology)
約22,000人約4,056億円
7東芝
(Toshiba)
約131,000人約4,642億円
8ネクスぺリア
(Nexperia)
約12,000人約4,641億円
9ローム
(Rohm)
約22,000人約4,824億円
10アルファ&オメガ・セミコンダクター
(Alpha & Omega Semiconductor)
約2,800人約424億円
売上高はパワー半導体以外の事業も含む

各企業の従業員数と、企業全体での売上高を示します。ここから、事業規模や従業員数に対する売り上げ高などを推察することができます。

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某自動車メーカー勤務、主に計算系の基礎研究と設計応用に従事してます。
自動車に関する技術や、シミュレーション、機械学習に興味のある方に役に立ちそうなことを書いてます。

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