XPENG AEROHTの「空飛ぶ車」とその開発課題

自動車業界
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「空飛ぶ車」は、今後10年間で技術開発と法整備が進むと見込まれている技術分野です。

中国の自動車メーカーXPENG(シャオペン)の子会社であるXPENG AEROHTは、電動の空飛ぶ車を開発しています。特徴的なのは、個人ユーザの使用をターゲットにしている点と、2025年にも販売を開始しようとしている点です。

XPENG AEROHTの技術や課題、機体の価格などを詳しく解説します。

XPENG AEROHTとは

XPeng AeroHT はXPENG(シャオペン)の子会社の 1 つです。XPENG AEROHT社は元々、2013 年に中国広東省で「Heitech」という企業として設立され、後にXPengに買収されました。

XPENG AEROHTは、電動の空中モジュール(いわるゆ空飛ぶ車)を開発しており、垂直での離着陸や低空での飛行が可能とされています。XPENG AEROHTは「eVTOL」と「モジュール式」の2種類のタイプを開発しています。

eVTOL Flying Car

XPENGのeVTOL

eVTOL(イーブイトール)は、電動の垂直離着陸できる旅客機のことを指します。(An electric vertical take-off and landingの略)

「空飛ぶ車」とされる乗り物のなかで、現在最も注目されているのがeVTOLです。XPENGはCES2024ではコンセプトモデルである「eVTOL Flying Car」を公開しました。

車両の屋根部分に格納されたプロペラは、飛行時のみ展開する

上の写真のように、一見自動車に見える車両の屋根に格納された翼とプロペラが展開され、垂直方向に飛び立つことができます。空中を移動させる必要があるため、車両の重量は極限まで軽量化される必要があります。

2022年に飛行に成功したXPENGの空飛ぶ車

2022年には、タイヤ付きの車両の屋根部分にドローンのようなプロペラをつけたテスト車両を開発。飛行に成功しています。

eVTOLの開発は世界各国で進められており、XPENGと同様のコンセプトの車両もいくつか見られます。「空飛ぶ車」は車両開発も課題が多い一方で、運転者の訓練と、飛行に関する法整備が難しいところです。

Modular Flying Car

左側の地上モジュールと、右側の飛行モジュール

XPENG AEROHTのもう一つのコンセプトである「Modular Flying Car」は、一般的に「モジュラー飛行車」として知られており、地上モジュールと空中モジュールの2つのモジュールで構成されています。

地上モジュールは4-5人乗りで、飛行モジュールに電力を供給する役割も備えます。一見革新的に見えますが、ヘリコプターを湯要するためのトラック、と理解すると、それほど目新しい技術と言うわけでもありません。

飛行モジュールを別体とすることで現実解に近いものになるが「空飛ぶ車」と言えるのかは疑問

空中モジュールは、地上モジュールと切り離して飛行する飛行体です。空中モジュールには複数のローターやプロペラが備わっており、安定した飛行を実現します。地上モジュールの航続距離を補完し、長距離移動や、陸上からのアクセスが制限される場所への直接移動を可能にします。

XPENGの競合も多いです。2024年現在、eVTOL業界の大手企業には、ジョビー・アビエーション、BETAテクノロジーズ、アーチャー・アビエーション、バーティカル・エアロスペース、イヴ・エア・モビリティなどがあります。エアタクシーとも呼ばれる電動垂直離着陸機の開発の最前線を走る企業群です。

XPENGのコンセプトは斬新ですが、競合でも同様のコンセプトを掲げる企業も見え始めています。

発売時期と価格

モジュール式の機体(Land Aircraft Carrier)は、2025年第4四半期までに量産化、中国での販売価格は 100万元(約2000万円)以上になる予定です。

2021年2月、中国は国家計画に「低空経済」の概念を導入し、昨年少なくとも16の省が一般航空と併せてその文言を政府活動報告書に組み込みました。2021年12月に開催された中央経済工作会議でも、政策議論の中で低空地経済が強調され、eVTOLを含む空飛ぶ自動車を国家戦略として進めていく方針です。

Xpeng社は現実的な目で「空飛ぶ車」事業を見ている

XpengのCEO,Brian Gu氏

Xpeng Motorsの共同社長であるBrian Gu氏は、XPENG AEROHT社の製品は中国市場向けであると述べています。またGu氏は「これがすぐに何百万もの車両が飛び交うようになるという幻想は持っていない」とも述べています。

XPENG AEROHTが中国で空飛ぶ自動車を展開していくには、規制当局との協議が必要です。特に、Xpengが一般ユーザに「空飛ぶ自動車」を販売するにあたり問題となるのが、消費者の運転能力の教育に時間がかかることです。

現時点では米国含めた国外での販売を想定しておらず、「米国市場への進出の最適なタイミングについて社内で議論している」程度のコメントに留めています。

製品開発の課題

XPENG AEROHT社は「空飛ぶ乗り物を一般消費者に提供する」という目標に向けて邁進していますが、課題も多い状態です。

市場には成熟したeVTOL製品はなく、バッテリーや飛行制御システムなどの重要なコンポーネントについてはサプライヤーとの共同開発が必要です。独自基準の信頼性を担保した部品を確保する必要があり、コストは高くなり、開発期間も長期化します。

空飛ぶ車は、自動車よりも航空機に近い安全レベルが要求されます。自動車は代表車両で型式認証をとることで量産が可能ですが、航空機は全数検査のため、量産が非常に困難です。

飛行機は死亡率(移動距離あたり)が著しく低いことが知られています。飛行機の死亡率が低いのは、航空業界の厳しい規制、徹底したパイロット訓練が貢献しているためで、自動車が「空を飛ぶ」ためには自動車レベルでの安全管理からの脱却が必要です。

空中での運行に関連する問題もあります。例えば以下のようなもので、現在も法整備が進められている最中です。

運用に関する問題

  • 空域の承認や規制(航空機でいう航空管制のような仕組み)
  • 飛行ルートや高度の制限
  • 安全な搭乗と降機などで、

eVTOLを購入するユーザ自身にも課題が存在します。ユーザ自身がeVTOLを操縦して飛行するためには飛行免許の取得が必要となりますが、現在の中国では、eVTOLのための試験や免許制度が整っていません。

今後、技術開発と共に法整備を進める必要があります。その点でも、中国の当局と連携しての車両開発は欠かせないと言えます。

XPENGとは別の中国のeVTOL企業の幹部は「中国はeVTOL事業をかなり支援している、中国政府は電動航空分野の世界標準の策定で、主導権を握ることに熱心」と指摘しています。新産業を育てるための法整備は、過去に半導体やシリコン太陽電池、EVや車載電池などで実施しており、eVTOL事業へも同様に支援を進めると考えられます。

まとめ

XPENG AEROHTは空飛ぶ車を開発しており、技術や規制の改善を進めながら、コンセプトモデルを提示し世に問いかけ続けています。

XPENG AEROHT社には解決すべき課題は多いですが、着実に一歩ずつ技術を積み重ねて、空飛ぶ車を実現してほしい所です。

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この記事を書いた人

某自動車メーカー勤務、主に計算系の基礎研究と設計応用に従事してます。
自動車に関する技術や、シミュレーション、機械学習に興味のある方に役に立ちそうなことを書いてます。

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