テスラの大型蓄電システム「メガパック」の価格は?耐久性は?

テスラ

テスラの開発する大型蓄電システム、メガパック。

テスラはメガパックの販売を開始して3年になりますが、多くの人はメガパックが何かを知りません。

この記事では、テスラのメガパックの詳細と、今後メガパックがどのような成長を遂げる可能性があるかを解説します。

テスラ・メガパックとは

テスラ・メガパックは、アメリカの電気自動車メーカーであるテスラが開発した、大型の蓄電システムです。

一般的な蓄電池よりも大型でありながら、設置や運用が容易で効率的なシステムとなっています。

カリフォルニアなどでは、日中に太陽光発電で発電した電池をメガパックに蓄え、電力ピークを迎える夜間に放電することで、エネルギーグリッドを最適化しています。

テスラ・メガパックの技術的特徴

テスラ・メガパックは、以下のような技術的特徴を持っています。

高性能リチウムイオン電池

メガパックは、テスラの車両に搭載されているバッテリーを使った蓄電池です。

エネルギー貯蓄の市場は車両よりも大きいことから、テスラもこの市場の開拓に乗り出しました。

車載電池と定置用電池の要求性能は大きく異なることから、車載電池をそのまま使ったシステムを長く稼働させるために、高度なエネルギー管理システムを構築しています。

インテリジェントなエネルギー管理システム

テスラ・メガパックは、AIを活用したインテリジェントなエネルギー管理システムを採用しています。

これにより、電力の需要と供給をリアルタイムで最適化することができ、エネルギーの効率的な利用が実現されます。

スケーラビリティ

テスラ・メガパックは、モジュール式の設計がされているため、必要に応じて容量を追加することが容易です。

これにより、各地域や施設の電力需要に応じて、最適なシステム構築が可能となります。

メガパックの価格は?

テスラ投資家のSawyer Merritt氏のTwitterより

メガパックの導入・運用にかかる費用は、システムの規模や地域によって異なります。

参考までに、カリフォルニアに3.9MWhのメガパックを設置する場合、コストは概算で、設置費用187万ドル、保守費用が年間8000ドルです。

また、メガパックは電力のピークシフトや再生可能エネルギーの利用拡大によって、長期的なコスト削減効果が期待できます。

なお、2023年にテスラはメガパックの価格を引き下げるとも予想されており、その時々で価格が変動します。

メガパックの耐久性は?

新しいテスラ車のバッテリーの寿命は約1,500回の充電サイクルであることが分かっているので、メガパックにも同様の電池を利用していると考えれば、充放電回数によって寿命が決まると考えられます。

定置用蓄電池の充放電回数要求値は、高品質なリチウムイオン電池の場合、約3000~8000回の充放電サイクルが期待されています。これはおおよそ10~20年の使用寿命に相当します。

テスラの電池のサイクル寿命は1500回であるため、寿命は5年程度に留まります

今後のメガパックの開発方向性

テスラは今後、メガパックの生産量の増強と、低コスト化、高耐久化を進めていくものと考えられます。

ソフトウェア制御で改善

メガパックは、AIを駆使したバッテリーマネジメントシステムを活用しているとアピールしていることもあり、電池のサイクル体制の低さなどのハードウェアの弱点を、ソフト制御でカバーしているものと考えられます。

充電時に満充電の80%程度で充電を終えることで電池の劣化を抑えることや、充電速度を遅くすることで電池の劣化を抑えるなどすれば、寿命を延ばすことも可能と考えられます。

LFP電池の採用

テスラは、高出力を必要としない低価格車両向けに、CATLのLFP電池を採用しています。

そのため、CATLのLFP電池電池を用いたメガパックも生産される可能性があります。

従来のリチウムイオン電池に比べてLFP電池は、低コスト、高耐久というメリットがあります。一方で、エネルギー密度や出力(短時間に取り出せるエネルギー量)は小さいというデメリットがあります。

このLFP電池はメガパックの用途にも向いています。LFP電池は5000サイクルを劣化なしで動作できるともされており、メガパックの抱える耐久性の課題を解決する可能性があります。

また、LFP電池は価格も安いため、今後低価格のメガパックが登場すると予想されています。

メガパックを中国でも生産

テスラ社Twitterより

テスラは上海にメガパックの向上を設置することを発表しています。2023年7~9月に着工し、24年4月から年間1万個のメガパックを生産するとしており、年間の生産総量は40GWhに上ります。

カリフォルニアにもメガパックの生産工場があり、上海にも同レベルの生産拠点を持つとしています。

既に、世界で5GWh以上のメガパックを設置済みとしていますが、今後生産量が増えることで、メガパックの市場拡大が見込まれます。

テスラは、自社製品の主要市場として中国を重要視しており、メガパックについても生産拠点を中国に持つことによって、中国政府との関係強化を狙うものと考えられます。

日本での導入事例

高砂熱学イノベーションセンター(三菱地所設計HPより)

日本でも、再生可能エネルギーの普及や電力需要の変動に対応するために、メガパックを活用したプロジェクトがいくつか実施されています。

高砂熱学工業の高砂熱学イノベーションセンターに導入されており、2021年4月から稼働を開始しています。

まとめ

今後、テスラ・メガパックをはじめとする蓄電システムの技術開発が進むことで、さらなるエネルギー効率化やコスト削減が実現されることが期待されます。

コストは高く、耐久性にも課題がありますが、今後LFP電池の採用により価格の低下と耐久性の向上が見込まれます。

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