エンパワー社のリチウム金属電池は何が凄いのか

車載電池

近年、バッテリー技術の進化が急速に進んでおり、その中でもエンパワー社のリチウム金属電池は大きな注目を集めています。

リチウム金属電池の技術の背景や特長、そしてなぜこれが業界で注目されているのかについて詳しく解説します。

エンパワー社とは

Enpower Greentech Inc. は、米国を中心に日本や中国にも拠点を持つ、全固体電池の開発を行っている世界的な企業です。その高い技術力と革新的なアイデアで、エネルギー密度の高いバッテリーの開発を行っています。

リチウム金属電池とは

リチウム金属負極は、一般的に黒鉛が用いられる負極にリチウムを用いる手法です。充電容量を格段に増やすことができます。一方で、充放電に弱くコストも高いというデメリットもあります。

エンパワー社が開発したリチウム金属電池で特に注目されるのは、円筒形電池のリチウム金属負極に関する独自の技術を駆使した点です。リチウム金属負極を用いた18650 円筒型電池 において、非常に高いエネルギー密度が実現されています。

※直径 18 mm、高さ 65 mm のサイズを持つ18650 円筒形バッテリーは、リチウムイオンバッテリーセルの業界標準として知られています。

何が凄いのか?

エンパワー社のリチウム金属電池は、何が凄いのでしょうか。簡単にまとめると、以下の2点となります。

  • 高いエネルギー密度を実現している
  • 課題であった膨張を抑制している
  • パウチではなく円筒

以下で順に解説します。

高いエネルギー密度

エンパワー社の開発したバッテリーは、質量エネルギー密度 389Wh/kg および 体積エネルギー密度888Wh/L を誇ります。これは、市場に存在する他のバッテリーよりもエネルギー密度が高く、革新電池とも呼ばれている全固体電池に近い値を示しています。

課題の膨張を解決している

シリコンリッチな負極やリチウム金属負極を使用する電池など、多くの次世代電池では、充放電の際にセルが膨張するという問題があります。膨張による変形が繰り返されると、サイクル性能が低下し電池の劣化につながります。

一般的に、外部からの圧力を加えて膨張収縮を抑制する対策がなされます。しかし、エンパワーの18650セルは、円筒の金属パッケージで膨張を抑えています。円筒型セルの構造上の利点を最大限に活用しており、外部からの圧力を加えずに安定したサイクル性能を持っています。

パウチ構造ではなく円筒

ファクトリアルエナジーも、リチウム金属負極を用いたバッテリーを開発していますが、こちらはパウチ型の構造です。

一般的に、膨張収縮の大きい電極を持つ電池はパウチ型で製造されることが多く、円筒型でリチウム金属負極を実現したエンパワーの技術力には注目すべきです。

エンパワー社は、2021年にパウチ型セルで500Wh/kgのエネルギー密度を実現しており、円筒型でない場合は更に高いエネルギー密度を実現できるとしています。

今後の見通し

現在、エンパワー Greentech が開発した 18650 円筒形リチウム金属電池 (LMB) は、パイロットテストの段階にあります。技術の進化とともに、近い将来エネルギー密度 400Wh/kg を達成すると見込まれています。

比較として、テスラの現行の4680バッテリーは容量が約27.5Ah、エネルギー密度は約300Wh/kgであることを考慮すると、エンパワー社の技術のポテンシャルの高さが理解できるでしょう。

まとめ

エンパワー社のリチウム金属電池技術は、電動車や再生可能エネルギーの貯蔵、さらには家庭用電池など、多岐にわたる用途での活用が期待されています。今後の技術の進展と市場への普及に大いに期待が寄せられています。

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