注目すべき中国新興EVメーカー3社、生き残るのは?

自動車業界

現在の中国自動車市場では、三つの新興自動車メーカーが競争を繰り広げています。この記事では、新興EV3社について解説し、「どこが生き残るのか」という視点で今後の見通しを考察します。

注目される中国新興3社

中国で躍進する新興自動車メーカーとして、以下3社がよく挙げられます。

  • Li Auto(リ・オート)
  • NIO(ニオ)
  • XPeng(シャオペン)

多くの自動車メーカーが立ち上がり消えていく中国市場で、すべての自動車メーカーの情報を追うことは現実的ではありませんが、これら3社については最低限把握しておくことをおすすめします。

Li Auto(リ・オート)

リ・オート(Li Auto)は、中国の自動車メーカーです。2005年に設立された比較的新しい自動車会社です。彼らはスマートフォン業界で経験豊富なメンバーを中心に自動車開発チームを組んでおり、元Huaweiなどの企業で働いた経験を持つエンジニアも採用しています。

リ・オート(Li Auto)はソフトウェアを重視して製品を開発する「SDV」的思想に長けているとされます。

リ・オートの主力製品はL7、L8、L9という車種です。これらは高級なハイブリッドSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)で、EVではありません。これらの車はハイブリッド車で、PHEVと同等の大容量バッテリーが搭載されており、航続距離の問題を解決するためにエンジンも搭載しています。

リ・オートは中国の新興自動車メーカーの中では珍しく、まだ純粋な電気自動車(BEV)は製造していません。MEGAというミニバンタイプのEVを2023年に発表するとされています。

以下の記事で、より詳しくリ・オートについて解説しています。

NIO(ニオ)

NIOは中国の車メーカーです。中国版のテスラとも言われています。

NIOはこれまでにいくつかのEVを市場に投入してきました。NIOが注目される理由として、EVだけでなく、電池技術やバッテリー交換技術も開発している点が挙げられます。また、近年スマートフォン事業にも参入しており、独自のデジタル化技術で差別化を図っています。

NIOの車の特徴は、ダッシュボードの上にスマートスピーカーが設置されていることです。車の中をデジタル化し、よりスマートに使えるようにしています。

NIOは、中国の自動車市場が減速している状況でもあり、他のEVメーカーと同様に売り上げの伸びが鈍化しています。しかし、NIOは安易に値下げ競争に参加しないなど、自分たちの独自の道を切り開こうとしている様子もあります。

NIOは人員整理を含めた事業整理を進めています。2023年11月に最近大規模減員計画を発表、11月中に人材調整を終えて技術投資に集中する計画です。従業員27,000人のうち10%に当たる2,700人が解雇されるとされています。同社のウィリアム・リーCEOは社内文書で「次の段階に進むためにコストを減らし資源を再配分しなければならない」と減員理由を説明しています。

XPeng(シャオペン)

中国のEV新興企業であるXPeng(シャオペン)は2017年に設立され、創業者の何暁鵬はアリババのモバイル部門の責任者だった人物です。設立からわずか6年で多くの注目を集めるようになり、その技術力の高さから日本の自動車メーカーもXPeng(シャオペン)に注目しています。

XPengの自動車は、ソフトウェアを基本とした設計理念を持ち、高価格帯の電気自動車を販売しています。近年、XPengは中国国内の競争に直面し失速気味ともされていますが、中長期の成長ビジョンを示すことで、その勢いを取り戻そうとしています。
XPeng(シャオペン)の技術とビジネスモデルについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

生き残るのは?

各社の四半期あたりの販売台数の比較。Li Autoが2023年に入ってから好調を維持している(各社発表をもとに当サイト作成)

中国の新興自動車メーカー3社は、将来生き残ることができるでしょうか?

まず、販売台数を比較してみます。2022年末ごろまで、三つのメーカーの販売台数には大きな差はありませんでしたが、2023年になると差が顕著になり、Li Autoが突出して販売台数を伸ばしていることがわかります。

Year-QuarterLi Auto SalesXpeng SalesNIO Sales
2019Q4973
2020Q12,896
2020Q26,60410,331
2020Q38,6608,57812,206
2020Q414,46412,96417,353
2021Q112,57913,34020,060
2021Q217,57517,39821,896
2021Q325,11625,66624,439
2021Q435,22141,75125,034
2022Q131,71634,56125,768
2022Q228,68734,42225,059
2022Q326,52429,57031,607
2022Q446,31922,20440,052
2023Q152,58418,23031,041
2023Q286,53323,20523,520

Li Autoは新興企業のなかでは老舗ではありますが、2023年に入ってから利益を出し始めており、Li Autoは今後大手自動車メーカーとして成長していく兆しが見え始めています

NIOとXpengの成長率の鈍化は否めません。Xpengは2025年までに赤字から黒字になることを目指していますが、実現の可能性はわかりません。NIOも新商品の投入や電池技術の開発、スマートフォンの投入などを起爆剤として、自動車販売を伸ばそうとしていますが、どこまで効果があるかは不明です。

市場では、新興EVメーカーの損益分岐点台数(利益が生まれる最低の販売台数)は年間20万台との見方があります。Li Autoは2023年には超えられそう、NIO(見込み10万台)とXpeng(見込み8万台)は、まだ損益分岐点台数に届きそうにありません。

今後、Li AutoがテスラやBYDのような自動車メーカーとして成長するのか、他2社も追従するのかは注視が必要です。

まとめ

自動車業界における競争は激化しています。

Li AutoやNIO、XPengなどの中国の自動車メーカーは、質の高い電気自動車の開発に取り組んでおり、その品質や製品力が市場で評価されはじめています。競争が激しいなかでも、新興企業たちは自分たちの独自性を打ち出し、持続的な成長を目指すことになりそうです。今後の動向に注目が集まっています。

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