ホンダ北米初の量産EV「プロローグ」に搭載される電池技術とは?

車載電池

ホンダとGMのコラボレーションによって生まれた、新たなるEV、2024年初めに北米で発売予定のホンダ・プロローグ。スポーツ用多目的車(SUV)のタイプでありながらも、GMのUltium技術を搭載し、Googleのサービスも活用するなど、先進的かつ魅力的な特徴を持っています。

この記事では、主に電池技術に焦点を当てながら、プロローグの概要と競合他社との比較をしていきたいと思います。

2024年、北米でプロローグが発売予定

2024年初めに、北米で「プロローグ」という車が発売されます。プロローグはスポーツ用多目的車(SUV)、バッテリーや基礎部分はGMが開発したプラットフォームを使用しています。外装と内装はホンダのデザインです。

プロローグの価格は4万ドル台後半(約670万~740万円)からで、購入すると最大7500ドル(約110万円)の税額控除が受けられるとされています。

プロローグにはGoogleのサービスが標準で備わっています。たとえばGoogleアシスタントやGoogleマップ、Google Playが使えます。これはホンダのSUVとしては初めての機能です。

ホンダのプロローグとGMのUltium技術

プロローグに搭載される電池セルは、GMの開発した「Ultiumバッテリー」を使用しています。同様に、モーターやバッテリーパックもGMから供給されています。Ultiumバッテリーはパウチ型のセルを複数搭載した電池モジュールで構成されるものです。

トレンドからは遅れている

テスラやBYDは、電池パックに電池セルをそのまま搭載し、電池パックを車両の構造部品として扱っている

近年、電池セルをモジュール化せず、直接ボディに埋め込む方式が普及してきており、ホンダ(GM)の電池は「流行より少し古い」ものと言わざるを得ません。電池セルを搭載したパックを直接ボディ骨格とすることで、無駄を排除して電池パックのエネルギー密度を上げる方法が主流となる中で、プロローグの電池の技術的な差別化は難しそうです。

近年の電池の搭載方法のトレンドについては、以下の記事で詳しく解説しています。

プロローグには85 kWhのリチウムイオンバッテリーが搭載されており、このバッテリーはHondaのプロローグにしか使われないものではなく、GMの他の車種でも利用されています。

充電速度は見劣り

メーカー車種充電速度 (最大)プラットフォーム
ホンダプロローグ155 kWUltium
VWID.4170 kWMEB
(Modular electric drive matrix)
ヒュンダイIoniq 5220 kWE-GMP
GMブレイザーEV
キャデラックリリック
195 kWUltium

プロローグはDC急速充電器を使って最大155 kWの充電ができ、約10分で約100 km走行ぶんを充電できるとされています。ただ、他の競合する車種と比べると少し充電速度が遅いです。競合車種のID.4やIoniq 5はそれを上回る170kW、220kWを実現しており、プロローグの充電速度は見劣りします

同じUltiumバッテリーを搭載するGMのブレイザーEVやキャデラックリリックは、195 kWでの充電を実現しているため、GMは充電技術の他社利用に制限を掛けている可能性があります。

プロローグは、電池パックの容量を選ぶことができないことも難点です。4WDのモデルでは、搭載される2つ目のモーターの追加消費電力を補うために、より大容量のバッテリーパックを装着することが一般的ですが、85kWhのみの選択肢しかないプロローグは、航続距離を補うことができません。

ホンダ特有の設計部分

ホンダ・プロローグの広々としたキャビンはすべてホンダが設計・開発しています。車のサスペンションの味付けや外観デザインもホンダ独自のものです。11インチのディスプレイと11.3インチのタッチスクリーンが組み込まれており、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応しています。

ただ、インテリアも一部はGMと共通設計になっているようで、タッチスクリーン周辺のモジュールはGM製の車種に酷似しています。

GMのトラック・SUVブランドであるGMCの2023CANYONのインテリア。プロローグも同じモジュールを利用

GMは以前「将来のウルティウムベースのモデルにはCarPlayを搭載しない」と発表していました。2023 GMC Canyonとインフォテイメントパネルはプロローグとほぼ同じデザインが採用されているにもかかわらず、ホンダのプロローグではCarPlayを使うことができるようです。

ホンダはまだ正確な発売日や価格を明らかにしていませんが、2024年の初めに米国で発売される予定で、価格は40,000ドル台後半になる見込みです。また、2023年後半には先行販売が開始され、そこで詳細な情報が明らかになる可能性があります。

ホンダのゼロエミッション車戦略

ホンダは2040年までにゼロエミッション車の販売比率を100%にすることを目指しています。今回紹介されているモデルは、「プロローグ」という名前で、まだ始まったばかりのプロジェクトです。

プロローグの北米での競合は、以下の車種が考えられます。

車名価格 (ドル)
ホンダ プロローグ4万ドル台後半(未定)
フォルクスワーゲン ID.4 Pro4万5290ドル
ヒュンダイ Ioniq 5 ロングレンジ4万6835ドル
トヨタ bZ4X4万4080ドル

価格や設計などは他の競合車種と比べて少し劣っているかもしれませんが、ホンダらしいデザインと設計思想で競合他社のユーザを獲得する可能性はあります。スペックはクラスをリードするものではないですが、安価だが印象的でないトヨタのbZ4xと比べると、十分に勝機があると言えます。

GMとホンダのEV共同開発は頓挫

2023年10月、GMとホンダのEV共同開発が中止されることが発表されました。

GMとホンダが共同開発するEV「プロローグ」を北米で販売する計画は変更しないものの、2027年以降にアジアや欧州など世界で展開する計画で開発するとしていたEVは頓挫。電池利用や商品性で折り合いが付かなかいなかで、共同開発は中止となったようです。

ホンダとの協業で量産効果を引き出す狙いがあったGMの方針も変わる可能性があります。GMは「2024年半ばまでに北米で累計40万台のEVを生産する」という目標を取り下げ、電動化の勢いが失速しているようにも映ります。

ホンダは2025年以降、自社プラットフォームで開発

ホンダは、2025年には自社のプラットフォームで開発した電気自動車を登場させる予定です。この車種は中型から大型の車になる予定で、ホンダは自社が独自に開発した「e: Architecture」というプラットフォームを利用するとされています。

EVの電池に関しては、ホンダは複数の外部企業からの安定調達を目指しているとされています。北米ではGMの電池やLGエネルギーソリューション、中国ではCATLと組み、日本ではAESCグループと提携しています。

まとめ

ホンダのプロローグは、GMのUltiumプラットフォームを使用し、85kWhの大容量バッテリーを搭載しています。ホンダ独自のデザインや広々としたキャビン、ワイヤレスのCarPlayなど、魅力的な特徴が満載です。

将来的にはホンダはゼロエミッション車の販売比率100%を目指しており、このプロローグはその一環として期待されています。価格やスペックの面で一部の競合他社よりも劣るかもしれませんが、ホンダの人気と信頼性は顧客に響くでしょう。また、2025年にはさらなるモデルの登場も予定されています。新しい時代のホンダの車を楽しみにしていましょう。

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました