中国CALBの電池事業と注目すべき技術

車載電池

CALBは、中国第3位の電池メーカーです。車載電池を手掛けるCALBは、中国の電池大手であるBYDやCATLほどの知名度はありませんが、高い技術力を持つ企業であることは間違いありません。

この記事では、CALBの電池技術について解説します。

CALB(China Aviation Lithium Battery technology)

CALB(China Aviation Lithium Battery technology)は、2015年に設立された中国のバッテリー企業です。中国車載電池大手で、中国国内では中創新航科技と呼ばれます。

CALBは、リチウムイオン電池セルから、モジュール、バッテリーパックに至るまでの、車載および蓄電池用バッテリー事業を展開しています。

CALBは世界シェア4%をもち、中国の車載電池市場で3位の位置につけていますが、1位のCATLや2位のBYDとの差は大きく、生産能力の増強を急いでいます。

注目すべきバッテリー技術

CALBの電池技術について、知っておくべき点をいくつか解説します。

高圧NCM電池:L221

CALBは、ハイエンド向けのNCM電池である「L221」を開発。L221は合肥の新工場で生産され、航続距離600km以上の電気自動車をターゲットとしたハイエンド電池です。

NCMはニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)を主成分としており、コバルト系リチウムイオン電池よりも安全性が高く、発熱量が少ないなどの特徴があります。

NCM電池については以下の記事で詳しく解説しています。

CALB資料を日本語訳

L221は高い体積エネルギー密度と急速充電性能が特徴であり、細長い形状のオールタブ・ラミネート・バッテリー・テクノロジーを採用しています。

エネルギー密度が250Wh/kg以上と高く、動作温度範囲も広く、充電速度も非常に短いハイエンド電池として提供されています。

250Wh/kgは、最新のハイエンド向け電池としては少し見劣りするエネルギー密度です。テスラやパナソニック、CATLの提供するハイエンド(NMC系)のリチウムイオン電池は、300Wh/kgに近いエネルギー密度を実現するものもあり、今後の技術開発による性能向上が期待されます。

テスラの内製する電池については、以下の記事で解説しています。

L221は既に市販車に搭載されています。中国の自動車メーカーZero Run のEVであるC01に搭載されています。

U字型バッテリー技術

CALBはU字型バッテリー技術を開発しました。この技術では、丸型セルと比較して、両極を片方の端に配置し、プラス極を中央に寄せて高くし、マイナス極を外側に配置しています。この設計により、内部抵抗が50%減少し、電流経路も70%減少します。

内部抵抗の低減は、急速充電機能にとって重要です。U字型構造のセルは最大6Cで充電可能であり、約10分でフル充電が可能です。この技術はNMC型セルに適用されることが推定されており、エネルギー密度300Wh/kgを実現するための技術の1つとして期待できます。

また、ステンレス鋼を使用したシェルにより、腐食ゼロと高信頼性を実現しています。トップフロー構造により、空間利用率を3%向上させ、発熱を低減し、セルエネルギーを大幅に向上させることが可能です。

CATLとの特許訴訟で敗訴

CALBは、同じく中国の電池メーカーであるCATLによる特許訴訟で敗訴したことを発表。国家知識産権局は、CALBの特許を完全に無効と判断しました。この訴訟は、CALBとCATLの間で2年間にわたって続いてきた特許法的紛争の一環であり、注目を集めていました。紛争の結果、CALBには370万ユーロの罰金が課せられることになりました。

CALBとCATLの間の紛争はまだ完全には解決していませんが、両社の市場ポジションには大きな差があります。SNE Researchによれば、CALBの世界市場シェアは4.3%、CATLは36.8%となっています。CATLは業界で確固たる地位を持ち、6年連続で市場シェア30%を超える唯一の電力用電池企業としての地位を保持しており、CALBがCATLを超える企業に成長することは考えにくいと言わざるを得ません。

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