アジアが水素消費の中心地となる未来が来ている

アジア

エネルギーの未来は急速に近づいており、アジアは水素経済の形成に重要な役割を果たすと思われます。気候変動に対する世界的な懸念と持続可能なエネルギーソリューションの必要性が高まる中、水素は従来の化石燃料に代わる有望な選択肢として浮上しました。

この記事では、アジアが水素消費の中心地となる未来について議論します。

日本は水素技術の先進国

水素技術の先進国である日本と韓国は、水素消費量の増加を牽引しており、アジアはこの新興市場の中心的存在となっています。

日本は長い間、水素燃料電池の技術開発においてフロントランナーに位置しています。2017年に野心的な「水素基本戦略」を発表し、日本の水素社会へのコミットメントは更に確固たるものになっています。「水素基本戦略」は、2050年までにカーボンニュートラルな社会を確立するというビジョンのもと、水素サプライチェーンの構築、水素製造量の増加、コスト削減を目指しています。

Hydrogen Council資料Hydrogen Insights 2022より

Hydrogen Councilで紹介された市場概況によると、水電解(Electrolyzer)は欧州が主要市場ですが、製造した水素を用いた燃料電池による発電(Fuel Cell)は、日本と韓国をはじめとするアジア圏が進んでいます。

「水素基本戦略」に沿って、日本は水素分野で目覚ましい発展を遂げました。あまり知られていませんが、日本の水素燃料電池の生産能力は550万kWを超え、世界の生産能力の半分を占めています。

さらに、日本はトヨタ・ミライなどの水素燃料電池自動車(FCV)をすでに数千台製造しており、増加する車両をサポートするために水素燃料補給ステーションのネットワーク拡大に取り組んでいます。

日本は水素製造方法の研究開発にも多額の投資を行っています。CO2排出を伴わない「グリーン水素」は、日本のカーボンニュートラルの目標を達成し、エネルギー生産による環境への影響をさらに低減するために不可欠なものです。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを利用し、電気分解によるグリーン水素の製造を検討しています。

韓国も水素利活用を進める

アジアのもう一つの大国である韓国も、水素社会へのコミットメントを表明しています。

韓国の「水素経済ロードマップ」は、水素の製造から最終用途まで、水素市場を拡大するための包括的な計画の概要を示しています。このロードマップでは、韓国が2040年までに水素技術のグローバルリーダーになることを想定しています。

日経記事より

5.5GW以上の水素発電能力を持つ韓国は、日本に匹敵する水素先進国です。現代自動車や斗山燃料電池などの著名な企業は、輸送や定置用発電など先進的な燃料電池システムを開発しています。韓国は2040年までに620万台のFCVを普及させるという計画しています。

日本同様、韓国も再生可能エネルギーを利用したグリーン水素製造に力を入れています。韓国は、電気分解によるグリーン水素製造に十分なクリーンエネルギーを供給するために、2030年までに再生可能エネルギー発電容量を63.8GWまで増やすことを目標しています。

2050年の見通し

マッキンゼーがまとめたHydrogen Insights 2022によると、2050年の世界の水素・派生品の需要は6億6千万トン。その需要の内、中国、日本、韓国、インドの4カ国だけで全体の4割以上を占めるとしています。

まとめ

水素社会のグローバルリーダーとして、日本や韓国を含むアジアは水素先進国に位置付けられます。水素社会を目指すアジアには、クリーンエネルギーの革新と持続可能な成長のモデルとなり、そのビジネスモデルを北米や欧州に輸出することが期待されています。

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この記事を書いた人

某自動車メーカー勤務、主に計算系の基礎研究と設計応用に従事してます。
自動車に関する技術や、シミュレーション、機械学習に興味のある方に役に立ちそうなことを書いてます。

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