【SEVB】Sunwoda(サンオーダ)のナトリウムイオン電池と全固体電池

次世代電池

Sunwoda(サンオーダ)は、車載用電池事業としてSEVBブランドを展開しています。サンオーダはリチウムイオン電池を主要な商品として展開していますが、将来電池にあたるナトリウムイオン電池や全固体電池の開発も進めています。

この記事では、サンオーダのナトリウムイオン電池の詳細と、全固体電池やリチウムイオン電池技術について、詳しく解説します。

SEVBはサンオーダの車載電池事業ブランド

SEVB(Sunwoda Mobility Energy Technology Co., Ltd.)は、中国Sunwoda(サンオーダ)グループの電池開発企業で、車載用および定置用のリチウムイオン電池を開発しています。

2022年の世界シェアは2%(世界9位)で、同じく中国のGotionや欧州のSVOLTとシェアを削りあっています。

SEVBは、廉価なLFP電池(リン酸鉄リチウムイオン電池)と、ハイパフォーマンス向けのNCM(三元系電池)の両方を製造しており、電池セルは角型と円筒の形状の両方に対応しています

電池セルの形状は大きく3種類に分類され、平板の「パウチ」と、テスラが採用する「円筒」、搭載スペース効率のよい「角形」があります。SEVBはそのうち円筒と角形を開発しているようです。

電池パックやモジュールについては、日本のOEMにはまだ納入実績がなく、主に中国の新興EV企業への供給を行っているとのことです。ハイブリッド用途では、日産と共にe-POWER用バッテリーを開発・生産するとの発表も行われています。SEVBの担当者の話では、リチウムイオン電池の顧客はシャオペン(Xpeng)などへの出荷が中心であると述べていました。

ナトリウムイオン電池の性能

ナトリウムイオン電池も開発しているようです。SEVBは2024年には量産を開始すると語っています。

ナトリウムイオン電池は、「リチウムが獲れなくなるかもしれないので大量に取れるナトリウムで電池つくった」というものです。

決してLi系電池を凌駕する性能を持つものではないことに注意が必要です。

SEVBが開発するナトリウムイオン電池のスペックは以下のようなものです。

サイズ:T70*W148*H113mm

容量:118Ah

エネルギー密度:160Wh/kg以上

容量維持率:90%(-20℃)

充電時間:30min@10%-80%@SOC

特に、エネルギー密度はリチウムイオン電池に比べて小さいのが特徴的で、近年のハイエンドのリチウムイオン電池のエネルギー密度が300Wh/kgに迫るものもあるなかで、その半分のエネルギー密度しかもたない電池であることは留意しておく必要があります。

中国の電池大手であるCATLもナトリウムイオン電池を開発しており、そのエネルギー密度は160-170Wh/kgと、SEVBと同等です。

それでも、リチウム資源を使わない電池はリスクヘッジの意味で需要があり、特に中国の新興メーカーなどは採用を狙っているともされています。

SEVBの全固体電池開発

全固体電池も開発中とのことです。実用化は2025年以降とのことで、ジャパンモビリティショーではASSB(All Solid State Battery)と書かれた電池のモックアップが展示されていました。(本物の電池ではない)

全固体電池開発に関する情報はほとんど公表されておらず、今回もスペックなどを含めた情報開示もされていません。全固体電池に関する各社の取り組みは、以下の記事でも詳しく解説しています。

SEVBの電池パック技術

SEVBはバッテリーパックも製造しており、パックは「Cell to pack」技術を用いた高エネルギー密度の電池パックを製造していると述べていました。Cell to Pack技術とは、電池セルをそのまま電池パックに敷き詰める構造で、従来技術であるセルをモジュール化してからパックに敷き詰める方式よりも体積効率(狭い場所にたくさん電池を搭載できる)が向上します。

SEVBは電池搭載方法の分類については以下の記事に詳しく解説しています。

6Cの急速充電可能なバッテリーパック

SEVBのLFP電池を用いた急速充電リチウムイオン電池パックは、最大6Cの急速充電が可能という謳い文句です。

C(電池の公称容量/Capacity)レートとは、バッテリー容量に対する充放電電流値の比であり、バッテリーの充放電特性を表します。容量の異なる電池同士の特性・条件をそろえて比較するために用意された指標です。

1Cは、満充電の電池を1時間で完全に放電する際に流れる電流です。Cの値が大きいほど大きな電流を出力でき、充電速度が速くなります

近年、LFP電池を用いた急速充電可能な電池パックが開発されており、同じく中国のCATLは4C充電が可能な「Shenxing」急速充電バッテリーを発表しています。

6C実現には冷却機能の工夫が必要

グレーの構造物が電池セル、セルの間に挟まる銀色の板が冷却用プレート。急速充電速度の対応必要性に応じて、霊薬プレートの枚数は変更する必要がある

SEVBの急速充電バッテリーパックは6Cの充電が可能とのことですが、そのためには冷却機能を更に大型化する必要があるようです。上の写真は4C対応の電池パックで、大型の電池セル2枚の間に、冷却用のプレートが設けられています。この冷却プレートは急速充電による発熱を効率よく冷やすために設置されており、4Cまでは2セルに1枚の冷却プレートで十分ですが、6C対応のためには1セルごとに1枚の冷却プレートが必要になるとのことです。

電池パックだけでなく、パックに搭載するためのモジュールも製造しています。中国のOEMなどは、電池パックは自社開発し、モジュールをサプライヤーから仕入れるような業態の企業も多いようで、ニーズに対応するために、セル、モジュール、パックすべての商材を用意しているとのことです。

商用車両用の電池パックも展開

SEVBは商用車(バスやトラックなどの用途)のための大型の電池パックも展開しており、商機を逃さないための製品ラインナップの拡充を進めているようです。

中国電池メーカーの中でも大手ではありますが世界シェアは2%と小さく、今後淘汰されるのか生き残るのか、その境目にいるのがSEVBをはじめとした企業群です。今後の開発動向にも注目が集まります。

まとめ

SEVBはリチウムイオン電池関連技術を多く取り揃えており、ナトリウムイオン電池や全固体電池への投資も行っています。世界シェアの観点から見ても存在感はある企業であり、今後日本での展開も進んでいくものと考えられます。

今後は、全固体電池をはじめとした新技術の開発と、大型設備投資によるシェア拡大を図れるかどうかが、SEVBの生き残るを決めると考えられます。

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