数値で見る中国自動車市場の今と未来

自動車業界

中国の自動車産業が成長を続けています。特にEVやハイブリッドを含むNEV(New Energy Vehicle*)の販売が伸びており、伴って中国から諸外国への輸出も増加しています。

この記事では、実際の数値を見ながら、中国における自動車産業の現状と展望を見ていきます。

*中国語で新能源車。日本語訳で新エネルギー車

中国は巨大な自動車市場

中国は主要自動車市場の中でも存在感が大きい(自動車技術会の四輪車世界販売台数をもとに当サイト作成)

まず、全世界での中国市場の大きさを見てみます。2022年の販売台数は2686万台と大きく、日本の10倍以上の市場規模です(日本の2022の販売台数は420万台)。割合でみると、中国市場は主要な自動車市場の41.4%を占めます。

販売台数は過去最高の3000万台

中国新車販売台数の推移(中国汽車工業会の情報をもとに当サイト作成)

中国国内の自動車販売台数の推移を見てみます。2023年、中国市場は3000万台の大台を超え、過去最高の販売台数を更新。

時系列順に並べてみると、2014年時点ですでに2400万台を販売する巨大市場であり、2017年時点でも2880万台を販売していることから、市場の成長は徐々に頭打ちを迎えていると感じられます。

今回の販売台数の増加について、日経新聞は以下のように報じています。

自動車各社が価格引き下げによって需要を喚起したほか、新エネ車大手の比亜迪(BYD)などを中心に各社が新型車を投入した効果が出た。

日経新聞記事より

ここ数年、プラス成長を維持

中国新車販売台数の成長率の推移(中国汽車工業会の情報をもとに当サイト作成)

前年と比較しての成長率は、2021年から3年連続でプラスです。2018-2020年に成長率がマイナスになる時期もあり、常に高い成長を示しているというわけではありません。

NEV比率は過去最高

中国新車販売台数に占めるNEV比率の推移(中国汽車工業会の情報をもとに当サイト作成)

NEV(EV,PHEVなどの新エネルギー車)比率を見ると、2023年は31.6%と非常に高い割合であることがわかります。

特に、2880万台を販売した2017年と大きく異なるのは、販売する自動車の種類です。中国で言うところの新エネルギー車(NEV)の販売比率が30%を超えています。

新エネ車は37.9%増の949万5000台だった。EVは24.6%増の668万5000台、プラグインハイブリッド車(PHV)は84.7%増の280万4000台だった。中央政府による購入の補助金は22年末に終了したものの、各地方が補助を実施している

日経新聞

各地方の補助金により買いやすいこと、消費者がNEVの先進性に期待していることがわかります。

2027年のNEV比率目標45%

従来の目標は2035年にNEV比率50%だった。中国は2027年に45%という中間のマイルストンを置いたことになる

2024年1月、中国政府は2027年までに、新エネルギー車の比率を45%に高めると発表しています。35年に50%をめざしていた従来の目標の中間点を打った形です。

輸出台数は伸び続ける

次に、自動車の輸出台数を時系列で並べてみます。

中国の自動車輸出台数の推移(中国汽車工業会の資料をもとに当サイト作成)

中国は、2021年ごろから自動車の輸出を増やしています。2023年は500万台を輸出。日本は430万台程度であり、中国の輸出量の多さが伺えます。

中国の輸出台数が大幅に増えた2021年は、中国のNEV販売比率が急上昇した年と重なります。NEV比率と輸出台数の関係を見てみます。

NEV比率と輸出台数には相関関係

NEV比率が上がるほどに、輸出量も増えている(プロット上の数字は年、赤線は近似線)

NEV比率と輸出台数には明確な相関関係(相関係数=0.959)が見られます。

国内で生産したNEVを諸外国に輸出することで、外貨を稼いでいると考えると、NEV比率と輸出量には因果関係もあるように想像できます。

中国輸出台数が日本を追い抜く

日本と中国の輸出台数の推移の比較(日本2023年の輸出台数は推算)

2023年、日本の自動車輸出台数が中国に追い抜かれました。中国がNEVを武器に海外での販売を伸ばしているのに対して、日本は販売台数を増やしてはいるものの、コロナ前の水準まで回復した程度に留まります。

輸出台数の多い中国企業

中国の輸出台数491万台の内訳をみてみます。

2023年の輸出台数のうち、成長率が多くを占める

いずれも2023年の輸出台数の推計値となりますが、輸出に大きく貢献している企業がSAICとCheryであることが分かります。

2023年、国内市場で302万4,417台を売り上げたBYDは、輸出台数は18万台程度と、その存在感はそこまで大きくありません。

2024年は販売→輸出↑

中国汽車工業会は、2024年中国商用車フォーラムにおいて、2024年の販売台数と輸出台数を、以下のように予測しています。

预计2024年我国汽车总销量为3100万辆左右,其中乘用车销量为2680万辆左右,商用车销量为420万辆左右,新能源汽车销量为1150万辆左右,出口量为550万辆左右。

2024年の中国の自動車総販売台数は約3,100万台、うち乗用車販売台数は約2,680万台、商用車販売台数は約420万台、新エネルギー車販売台数は約1,150万台、輸出台数は約550万台と予想される。

中国汽車工業会の発表より

販売台数はほぼ現状維持、輸出は10%の成長を期待しているようです。2024年も変わらず中国は巨大市場であることは変わらないようです。

数値データ

以下に、グラフのもととなった数値データを掲載します。

国ごとの新車販売台数

CountryCar Sales (2022)
United Kingdom1,940,000
Germany2,960,000
France1,930,000
Italy1,510,000
China26,860,000
South Korea1,680,000
Japan4,200,000
India4,730,000
Australia1,080,000
Canada1,560,000
United States14,260,000
Brazil2,100,000
日本自動車工業会のデータをもとに当サイト作成

中国での販売台数推移とNEV比率

Year販売台数新エネ車(NEV)
比率[%]
成長率[%]
201423,491,900+6.9%
201524,597,600+4.7%
201628,030,0001.8%+13.7%
201728,879,0002.7%+3.0%
201828,086,0004.5%-2.8%
201925,769,0004.7%-8.2%
202025,311,0005.4%-1.8%
202126,275,00016%+3.8%
202226,864,00029%+2.2%
202330,094,00031.6%+12.0%
中国汽車工業会のデータをもとに当サイト作成

中国と日本の輸出台数

Year中国の輸出台数日本の輸出台数
2016708,000
2017891,0004,710,000
20181,041,0004,573,663
20191,024,0004,609,911
2020995,0003,677,703
20212,015,0003,684,025
20223,111,0003,813,269
20234,910,0004,352,727(推計)
日本と中国の自動車輸出台数の推移(自動車工業会のデータをもとに当サイト作成)

中国企業ごとの輸出台数

Company Name輸出台数(2022年)輸出台数 (2023)成長率
Tesla271,095342,120126%
eGT63,70859,97694%
BYD55,364184,092333%
Geely22,20116,20073%
Chery
(奇瑞汽車)
450,000890,400198%
SAIC
(上海汽車)
1,274,0001,051,20083%
Changan
(重慶長安汽車)
249,000460,000185%
2023年は、2023年1-8月の輸出台数から算出した推算

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この記事を書いた人

某自動車メーカー勤務、主に計算系の基礎研究と設計応用に従事してます。
自動車に関する技術や、シミュレーション、機械学習に興味のある方に役に立ちそうなことを書いてます。

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