テスラ「モデル3改良版」のバッテリー、変更はあるのか?

テスラ

2023年9月1日に、テスラは多くの国々、特に日本や中国で、小型車「モデル3」の改良版の受注を開始したことを発表しました。

モデル3の変更点は内外装のデザインや空力性能の改善が挙げられますが、車載電池に関してはどうなのでしょうか。これまで発表された情報などから、変更の可能性を解説します。

テスラが改良版モデル3を発表

テスラモデル3(tesla.comより)

2023年9月1日に、テスラは多くの国々、特に日本や中国で、小型車「モデル3」の改良版の受注を開始したことを発表しました。新しいモデル3は、ハイランドというプロジェクト名で開発され、外観や内装の変更が行われました。

テスラモデル3のインテリア(tesla.comより)

中国では、この新しいモデル3の価格は25万9900元(約520万円)と設定されています。生産は2023年の9月から上海で開始されています。

テスラはバッテリーの情報を開示していない

残念ながら、テスラはバッテリー技術に関する情報に関して具体的な詳細を公開していません。しかし、スペックや噂を元に、いくつかの予測を立てることができます。

概して言えるのは、スタンダードモデルのLFP電池には変更の可能性が考えられる、という点です。

変更があるとすれば、標準モデルのLFP電池

項目model3 2024
(Standard)
model3 2023
(Standard)
パワートレインRear-Electric MotorRear-Electric Motor
最大出力271 HP
最大トルク310 pound-feet of torque
0-60mph加速時間5.8 秒5.8 秒
電気航続距離491 km 437 km
バッテリーの種類LFP(?)LFP
バッテリー容量57.5kWh(?)57.5kWh
空力性能 (cW値)0.2190.230
最高速度201km/h225km/h
DC充電能力170kW170kW
バッテリー材料の供給元CATLCATL
性能に関し未確定な部分は(?)で示す

変更が見込まれるのは、モデル3の標準モデルに搭載されるLFP電池です。

新型のモデル3で大きく変わっているのは航続距離ですが、この航続距離の改善は電池によるものだけではなく、Cd値の改善によるものも含まれています。(Cd値は空力抵抗を示す性能指標で小さいほど走行時の空気抵抗が少なく、航続距離を改善できます。)

標準グレードは変わらずLFP系

モデル3と他EVとの価格、電池容量の比較(各社発表をもとに当サイト作成)

従来のモデル3には、ベースのスタンダードモデルのみが、LFP電池(リン酸鉄リチウム)を使用していました。情報筋によれば、新しいモデル3にも、従来のモデルと同じCATL製のLFPバッテリーが搭載されているとのことです。標準車には57.5kWhのパックが、長距離モデルには75kWhのユニットが搭載されています。

標準モデルにM3P電池が搭載される?

テスラの歴史を見ると、フェイスリフトの際にはバッテリーのアップグレードが行われることが一般的です。このため、新しいモデル3にも何らかの改良が加えられていると予想されます。

テスラの新しいモデル3に搭載される可能性があるCATLの新しいLFP電池「M3P」について触れておきます。LFP電池の派生として、LMFP(リン酸マンガンリチウム鉄)バッテリーがあり、LMFPにさらに別の金属元素を加えたのが、CATLが開発中の「M3P」です。

要するに、M3PはLFPの改良版であり、鉄(Fe)がマグネシウム、亜鉛、アルミニウムの混合物に置き換えられたものです。

このM3P電池の開発が進行していることが昨年CATLから発表されて以来、M3P電池は改良版モデル3のスタンダードモデルに搭載されるとの噂がされていました。ベースモデルの電池パック容量は57.5kWhから66kWhにアップグレードされるともされています。

CATLは、M3Pバッテリーに使用する材料であるリン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)材料を深センのダイナノニック社から調達していると伝えられており、2022年下半期に11万トンのLMFP材料を生産する計画を立てているともされています。

Shenxing電池はモデルYで投入か

最近、CATLが今年発表した「Shenxing」と名付けた新しいLFPバッテリーがモデル3に搭載されるとの報道もあります。このバッテリーは、フル充電時に最大700キロメートルの航続距離を提供すると主張されています。

一方、CATLは2024年1〜3月期にShenxingを供給開始するとしており、今年10月から開始されるモデル3の納車には間に合いません。コストの観点から言っても、早くて2024年に発表される改良版モデルYに搭載されるのではないかと考えられます。

ハイパフォーマンスはNCMを継続

現在のパフォーマンスモデルは、75kWh(推定)の、LFPよりもエネルギー密度の高いニッケルマンガンコバルト(NMC)リチウムイオンタイプを採用しています。

改良版のモデル3においても、パフォーマンスモデルはNMC系を用いると予想されており、そのぶん価格も高くなります。

まとめ

テスラはモデル3の改良版に搭載する電池について、具体的な詳細をまだ公開していませんが、これまでの情報や噂をもとに、LFP電池の進化が期待されています。今後の公式な発表や、実際の車両の性能を確認することで、より明確な情報が得られることでしょう。

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