米国で躍進する全固体電池ベンチャーとは?

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全固体電池のプレイヤーは多い。特に、投資体力のある大企業が特許の多くを握っており、トヨタ自動車やサムスン電子がグローバルで先行している。

一方で、自動車OEMなどの出資を受けて全固体電池の開発を担うベンチャー企業も多く存在し、その規模は既にベンチャーと呼ぶべきものではない企業まで存在する。以下に、今後注目すべき全固体電池のプレイヤーをまとめた。

全固体電池ベンチャー一覧

https://www.greencarcongress.com/2021/06/20210623-idtechex.html

・QuantumScape
・SolidPower
・SolidEnergy Systems
・Seeo
・Blue Solutions
・ProLogium
・WeLion
・Qingtao Energy Development
・STEMicroelectronics
・llika

今回は、注目すべき3社として、QuantumScape、SolidPower、SolidEnergy Systemsを紹介する。

QuantumScape

全固体電池関連のベンチャーとして最も有名なのがQuantumScapeだろう。

スタンフォード大学のスピンアウトである同社は、全固体電池の開発と、バッテリー技術を自動車産業向けに商業化するためのスケーラブルな製造工程を開発している。サンノゼに本社を構え、従業員数約は200人。

2015年にVWが5%の株式を取得し、2020年には2億ドルを追加出資、現在13%の株式を保有している。

さらに、VWとQuantumScapeは共同で2018年に合弁会社を設立しており、実用化に向けた試験プラントを設置する計画を立てている。大規模製造設備を備えた量産体制を構築するには投資体力が必要となるため、QuantumScapeよりもVWが主導権を握って量産することになるだろう。

一方で、技術的進歩が公表されておらず、技術レベルを過大評価されているともいわれる。これは、プロトタイプを公表していない、サードパーティでの評価に消極的な姿勢を示す、などが原因である。

同様に、QuantumScapeは米国市場で過大評価されているとも言われている。2020年12月にNYSEに上場した際にフォードとGMの時価評価を上回ったためであるが、2021年7月現在は落ち着きを見せている。現時点での株価を過小評価だとする投資家も多い模様。関係ないが、ビルゲイツも株式を保有しているらしい。



SolidPower(ソリッドパワー)

QuantumScapeに次いで有名なのがSolidPower社。

Ford、Samsung、Hyundaiが出資、BMWと提携している。2020年12月に22層セルのバッテリーを発表。同時にEV用電池のマイルストーンを発表している。2021年末までに20Ahの全固体電池セルの製造を開始し、2022年には100Ahが続くとしている。

ソリッドパワー(Solid Power)の全固体電池セル

独自の硫化物型固体電解質を使用し、アノードに高含有シリコンとリチウム金属、カソードにチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)を用いる。液系LIBの設備を流用できるようにプロセスを設計しているとのことだが、どの程度流用できるかは疑問が残る。

2021年中に米ナスダック取引所に上場する予定で、目下もっとも注目されているといえる。また、2021年時点でBMWの幹部は「SolidPower社が技術を完全に確立するのは4,5年先」との見方を示しており、全固体電池が本格的に市場投入されるのは2025年ごろとなりそうだ。

SolidEnergy Systems(SES)

SESは、2012年にMITからスピンオフしたスタートアップで、GMがlithium-metal EV battery向けに1億3900万ドルを投資している。GMテクニカルセンターで走行試験も実施、2023年までに米ボストン近郊のウォーバーンにセルのプロトタイプの生産ラインをつくり、2025年に商業化することを想定している。

ヒュンダイ自動車もSESに1億ドルを出資しており、2030年には全固体電池を搭載したEVの生産を計画している。同様にFordやBMWもサポートしている。

まとめ

電池開発は、量産につなげるためには長期的な投資体力が必要となるため、いずれのスタートアップも早いうちに自動車OEMなどの大企業と提携することで、量産体制を構築しようとしている。

今後は、これらベンチャーを吸収した大企業同士の戦いとなることが考えられる。トヨタ、サムスンなどの超大企業と新興勢力の戦いは、粘り強く続けた者が勝つ泥沼の戦いになるだろう。

今後も動向を注視していきたい。

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