2035年までに実用化・普及が期待される注目要素技術7選

自動車業界

近年、新技術の開発や研究が加速し、これらの技術が次々と市場に登場しています。

2013年にディープラーニングが登場した際には、グラフィックボードのNVIDIAが企業価値を伸ばしました。次世代技術への投資が評価され、企業評価が伸びる時代を迎えています。

筆者は自動車業界で研究を行う身にあり、今後「来そうな技術」に日常的に触れながら仕事をしています。2035年までに実用化・普及が期待される要素技術を紹介します。

2035年までに実用化・普及が期待される注目要素技術

2035年までに実用化・普及が期待できる技術として以下が挙げられます。

  • 次世代電池
  • 全固体電池
  • 核融合炉
  • 水素燃料電池
  • ペロブスカイト型太陽電池
  • 量子コンピュータ
  • SiCパワー半導体

以下で、それぞれを詳しく解説します。

次世代電池

EV化の波が押し寄せるなか、次世代電池の研究開発が盛んです。

ナトリウムイオン電池やLFP電池など、次世代電池が続々と実用化され始めています。

次世代電池は、現行のリチウムイオン電池よりもコストや安全性、環境負荷が低いものや、エネルギー密度が高く航続距離を延ばせるものなど、その種類も様々です。

蓄電池市場は今後も拡大することが見込まれており、各社こぞって次世代電池の研究開発に取り組んでいます。以下の記事では、リチウムイオン電池に代わるとされる次世代電池と、現在最も主流のリチウムイオン電池の企業ランキングを紹介しています。

全固体電池

トヨタ自動車公式Youtubeより

全固体電池も、次世代の車載電池として期待される技術です。

電解質が固体であることから、安全性が高く、大容量化や高速充電が可能となるとされています。

2020年代後半から実用化が見込まれており、電気自動車や家庭用蓄電池、マイクロデバイスなど、各分野で応用が期待されており、私たちの身近な生活にも間違いなく恩恵をもたらす技術です。

以下の記事では、全固体電池開発の特許ランキングと、全固体電池開発企業のリスト及びその開発状況を解説しています。

核融合炉

iter.orgより

核融合炉は、太陽と同じ原理でエネルギーを生成する技術で、環境負荷が低く、持続可能なエネルギー供給が可能とされています。

現在、国際共同プロジェクトであるITERが進行中であり、2035年に実用化が目指されています。実現すれば、エネルギー問題の解決に大きく寄与することが期待されています。

以下の記事では、核融合炉の実現に向けた各社の状況を解説しています。

水素燃料電池

ホンダグローバルホームページより引用

水素燃料電池は、水素と酸素の化学反応で発電する技術で、水のみを生成するため、環境にやさしいエネルギー源として注目されています。

燃料電池は自動車(トヨタ自動車のMIRAI)などで既に実用化されていますが、高い車両価格、水素ステーションの不足などで普及は伸び悩んでいます。

EVの次に来る技術としても着目されており、2030年頃に普及が進むと予想されています。

ペロブスカイト型太陽電池

積水化学工業の実証実験中の太陽電池 積水化学工業公式HPより引用

ペロブスカイト型太陽電池は、高いエネルギー変換効率と低コスト生産が期待される次世代の太陽電池(ソーラーバネル)技術です。

現在の太陽電池よりも優れた性能を持つとされ、2025~2030年に実用化が見込まれており、各社が競って開発を進めています。

この太陽電池が実用化されれば、電源を必要としない小型装置の実現や、EVの航続距離延長が期待できます。

量子コンピュータ

Google Researchブログより

量子コンピュータは、量子力学の原理を利用して高速な計算を実現する新たなコンピュータ技術です。現在、いくつかの研究機関や企業が量子コンピュータの開発に取り組んでおり、一部の量子コンピュータはすでに稼働しています。

2030年頃から、量子コンピュータの普及が進み、人工知能や医療、金融など様々な分野で活用されることが期待されています。

現代のコンピュータが解けないような問題を、驚異的な速度で解決できるようになるため、仕事の最適な意思決定が、より迅速に効果的に行えるようになると考えられています。

SiCパワー半導体

SiCパワー半導体は、シリコンに代わる高効率なパワーデバイスとして、2030年代に本格的な普及にはいるとされています。SiCパワーデバイスの実用化により、EVの電力変換に用いられるインバーターの効率が向上し、EVの商品性向上につながるとされています。

現在パワーデバイスの主流であるシリコンから、SiCに代わることで、市場シェアの力関係が変化するのではないかと噂されており、テスラへの採用を足掛かりにSTマイクロエレクトロニクスがシェアの40%を獲得するなど、既に大きな動きが出始めています。

SiCパワー半導体に関連する企業群について、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

今回は、2035年までに実用化・普及が期待される注目要素技術について紹介しました。

これらの技術が実用化されることで、エネルギーや環境、コンピュータ技術などの分野において大きな変化がもたらされることでしょう。

このような技術の進展に注目し、将来の企業価値や市場動向を予測することが、投資やビジネス戦略の立案に役立つことであると考えられます。

今後も新技術の動向や開発状況を追跡し、さらなる情報提供を行っていきたいと思います。

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